デジタル未来からの手紙

AIのビジネス適用に必須--データドリブンのエコシステム - (page 3)

林 雅之

2017-12-22 07:00

 AIによるエコステム形成には、多くのプロセスと時間が必要となり、それぞれの過程でステークホルダーの関与も異なっていく。


 ステップ1では、AI関連サービスの利用者である「AI Consumer(企業ユーザー)」は、「AI Provider」のサービスを利用する。これが典型的な、単一の取引形態となる。

 この利用が進むと、ステップ2では、特定のAI Serviceを利用する開発者やスタートアップ企業を中心とした情報交換や連携を目的とするコミュニティや組織が育ち始め、AI利用拡大の契機となり、勢いのバロメーターとなる。

 ステップ3では、「AI Consumer(企業ユーザー)」たちが高度な利用を始め、運用管理や付加価値サービスなど企業固有のニーズが生まれる。これらのニーズに応えるために、AIサービスの導入を支援する「AI Integrator(AIインテグレーター)」やサービス管理や契約を仲介する「AI Broker(AIブローカー)」の役割が重要になってくる。

 ステップ4では、AIの普及が進むことで、より、重要なシステムの基盤に採用されるようになり、運用やパフォーマンスやセキュリティなどへの、安全性や信頼性が問われるようになる。現在、影響評価分科会において、プライバシーやセキュリティなどのリスク評価の議論もしているが、このステップになると、制度面でのより踏み込んだ検討が必要となってくるだろう。

 AIによるエコシステム形成で、特に重要となるのが、「AI Integrator」の存在だ。

 「人工知能インテグレーター」が活躍--AI同士が連携するICTインフラのあり方」の記事でも紹介をしたが、エコシステム前提の中で、ロボットやドローンなどのスマートマシンから、ミドルウェア、OS、ネットワーク、クラウド、データ分析、AIプラットフォームから、分野別アプリケーションまで、幅広いレイヤを理解し、構築運用をする役割が求められていくだろう。

 これまでのSI(システムインテグレーター)やCI(クラウドインテグレーター)から、AIネットワークによるエコシステムが形成されるようになると、「AI Integrator(AIインテグレーター)」といったロボットなどのマシンからAI系アプリケーションまで構築運用ができるインテグレーターのニーズが高まっていくだろう。


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