「E-JAWSは、しくじり事例、苦労話、AWSへの不満など、ジューシーで美味しくて生々しい声を共有している。クローズドな会なので発言には各企業の広報チェックがかからず、表には出せない内容が沢山語られる。こうしたノウハウを共有し、会員企業みんなが幸せになれるコミュニティを運営したい」
AWS(Amazon Web Services)のユーザー会の1つに、「Enterprise JAWS-UG」(E-JAWS)がある。AWSを使って事業を営むユーザー企業を会員とし、企業名や発言内容が外部に漏れないという前提で、困っていることやノウハウを自由闊達に述べる場となっている。事務局はアマゾンウェブサービスジャパンが務める。
E-JAWSは、2013年11月に会員40社ほどで発足。2017年12月現在の会員数は101社268人と、4年で2倍以上に増えた。参加条件は、ユーザー企業であることと、自社のAWS事例について話してくれること。会員企業が持ち回りで担当する運営メンバー(E-JAWSコミッティ)の承認を受けることで会員となる。
写真左から、日通情報システムのインフラサービス部で課長(プロジェクト担当)を務める下田よしの氏、ローソンの業務システム統括本部システム基盤部でマネジャーを務める進藤広輔氏、フジテックの常務執行役員で情報システム部長を務める友岡賢二氏、朝日新聞社でデジタル本部長補佐を務める山本和人氏
もっとも、AWSのユーザー会としては、E-JAWSよりも「JAWS-UG」が有名だ。しかし、JAWS-UGは、AWSを使いこなす個人会員で構成されており、ベンダーに所属する開発者が大勢参加している。JAWS-UGは、誰でも参加が可能なオープンな場であり、語られる内容はすべて公開されている。
これに対してE-JAWSは、ユーザー企業でなければ参加できず、クローズドな場として、共有した苦労話やノウハウを外部に漏らさない、という特徴がある。
生々しいユーザーの本音が聞けるのがE-JAWSのメリット
E-JAWSの会長を務めるフジテックの常務執行役員で情報システム部長の友岡賢二氏は、E-JAWSの存在を「オープンな場では聞けない苦労話やコストの話、AWSへの不満などが聞ける」とアピールする。
フジテックの常務執行役員で情報システム部長を務める友岡賢二氏
一方、「クローズドな会であることがE-JAWSの存在意義でありメリットだが、E-JAWSの存在自体がクローズドで知られていない」(友岡氏)という課題もある。E-JAWSの活動を通じて、存在を知られるようにしていきたいという。
E-JAWSコミッティの1社で、ローソンの業務システム統括本部システム基盤部でマネジャーを務める進藤広輔氏も、「会員企業を増やして、より活発にしていきたい」と豊富を語る。「E-JAWSは、お金のかけ方や管理のし方など、AWSユーザーならではの話が聞けるので役立っている」(進藤氏)という。
ローソンの業務システム統括本部システム基盤部でマネジャーを務める進藤広輔氏