スマートデバイスやSNSの普及に伴い、企業活動においてウェブサイトをデジタルマーケティングの中核ツールとして戦略的に使う動きが活発化している。この分野のリーディングカンパニーとして注目度が高まっているのが、デンマークのSitecoreだ。そのソリューションとはどのようなものか。日本法人のサイトコア代表取締役社長である酒井秀樹氏に聞いた。
サイトコア代表取締役社長の酒井秀樹氏
富士通も認めたサイトコアのソリューション
富士通とサイトコアがデジタルマーケティング分野において協業を拡大――。先頃、こんなニュースが両社から発信された。具体的には、サイトコアのウェブコンテンツ管理ソフトウェア「Sitecore Experience Platform(Sitecore XP)」を、富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」上から提供することで合意したものだ。
サイトコアのパートナー企業が、自身が持つクラウド基盤上からSitecore XPをクラウドサービスとして提供するのは国内で初めてとなる。富士通はこのサービスを2018年度上期(2018年4-9月)にまず国内で提供開始し、今後グローバル展開も視野にサイトコアとの協業を進めていく構えだ。
今回、サイトコアの酒井氏に取材を申し入れたのは、富士通も認めたサイトコアのソリューションの勘所を知りたいと思ったのがきっかけだ。ウェブサイトを活用したデジタルマーケティングは日本の企業でも高い関心を集めているが、本格的に取り組んでいるところはまだまだ少ない。果たして、サイトコアはユーザー企業に何をもたらせてくれるのか。
まずは、酒井氏の説明をもとに、同社の主力製品であるSitecore XPとは何かを紹介しておこう。端的に言うと、Sitecore XPは多様なコンテンツ管理機能やマーケティング機能が一元化された拡張性の高いウェブコンテンツ管理ソフトウェアである。他のCRMやBIツールとも容易に連携させて使用することが可能だ。現在、世界50カ国の5200社を超える企業や公的機関で利用されているという。
ウェブサイト訪問者の属性やサイト上での行動パターンに合わせてコンテンツを表示するパーソナライズ機能に加え、ユーザー企業の社内システムに散在するさまざまな顧客関連データや、連携させたSNSなどの外部システムから得られる情報を収集・分析し、訪問者に最適なアプローチを自動的に行う機能など、デジタルマーケティングに必要なさまざまな機能を備えている。
Sitecore XPでは、さまざまなコンテンツを管理しながら、顧客の興味・関心や行動履歴から得られるコンテクスト(文脈や背景)情報を利用し、それに合わせた最適なコミュニケーションを自動化する。企業のマーケティング担当者は、顧客がどのように自社ブランドと接触しているかに関するコンテクストを把握・理解したうえで、それに基づいたコンテンツを、すべてのチャネルを通じてリアルタイムに提供できるとしている。
図1・Sitecore XPの概要(出典:サイトコアの資料)