#1:MLのフィードバックループ
変革のペースは主に、データ自身が自らに関する予言を成就させることで促進、加速されてきている。詰まるところ、データ駆動型製品によって多くのデータが生み出されることで、優れた洞察がもたらされ、さらなる利益がもたらされる結果、投資がさらに活性化され、より優れた製品が登場し、多くのデータが生み出されるという循環が実現される。その結果、データの収集やストレージ、ガバナンス、セキュリティ、組織文化、スキルまわりの基本的な問題といまだに格闘している人たちがいる一方で、ビッグデータに関するニーズにおけるより高次な部分に目を向けている人たちもいる。
上の段落は、約1年前に筆者が執筆した記事からそのまま引用してきたものであり、その内容は今ではThe Economistが「データ経済に対応した独占禁止法への新たなアプローチ」を要求するレベルにまで現実味を帯びてきている。では、The Economistは何故こういったことを要求するのだろうか?データはイノベーションを加速させ、新しく素晴らしいアプリケーションすべてに活力を与えるものではないのだろうか?
確かにその通りだ。MLとAIの進歩によって推進されるイノベーションと、データ駆動による自動化は、世の中を一変させようとしている。われわれは、MLを構築するMLフレームワークといったものを手にし、自動化に対する自動化の軌跡を2017年にたどり始めたばかりなのだ。ただ、こういったデータ駆動型のフィードバックループは、監視体制の整っていない業界に新たな独占をもたらす懸念もある。
データや専門性、インフラが、一部の業界企業に極度に集中している状態が存在しているなか、気付きや行動の遅れによってその格差は広がっていくだろう。そしてこれら一部の業界企業は、自らのことのみを考えるという明確な指針を持っている。このため、データ駆動型のイノベーションや自動化を無批判に信奉していると、痛い目を見る結果になるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。