アクセンチュアは12月25日、最新レポートを発表して国境をまたいだ自由なデータのやり取り、IT製品・サービス間の相互連携、IT人材の交流が進まなければ、企業の成長戦略やイノベーション戦略に支障をきたす恐れがあるとした。
同レポートは、日本を含む世界8カ国400人以上の最高情報責任者(CIO)および最高技術責任者(CTO)を調査したもの。対象業界はサービス、テクノロジ、製造、資源・日用品、小売・流通、デジタルプラットフォームで、調査対象企業を年間売上別に見ると、2億5000万ドルから49億ドルが38%、50億ドルから199億ドルが36%、200億ドル以上が26%となっている。
調査の結果、回答者の74%が「今後3年間、グローバル化の障壁が高まり続ければ、自社は市場からの撤退または新規参入計画の延期や中止を余儀なくされるだろう」と回答し、91%が「グローバル化を妨げる規制が増えることにより、今後3年間でITコストが増えるだろう」と答えている。
グローバル化を妨げる規制が増え続けることの影響について、60%が「グローバルITアーキテクチャを見直す必要がある」、52%が「物理的なIT拠点の戦略を見直す必要がある」と回答している。また、規制がこのまま増え続けた場合、約半数の回答者が、サイバーセキュリティの戦略および機能、国内外のITサプライヤーとの関係、IT人材の配置などを見直す必要があるとしている。
アクセンチュアでは、こうした状況の中、企業の上級役職者がデジタル変革への道のりを再考する上で役立つ4つのポイントとして、「戦略計画プロセスを変える」「データフローを確保し、リスク軽減を図る」「地方の強みを生み出す」「ソリューションの1つとしてテクノロジを活用する」を挙げている。
特にデータフローの確保・リスク軽減の方策として、国境を越えたデータ流通に関する国の制約や要件など、データ規制がビジネスモデルに与える影響を検証することを推奨している。また、データのセキュリティとアクセシビリティ(アクセスしやすさ)の間で妥協点を見つけ、各種データの保管場所・方法を再評価することが重要だという。さらに、ブロックチェーン技術によって、データ保護やサイバーセキュリティ強化に資する、より安全な分散型システムを構築することも検討すべきだとしている。