公共部門におけるAIソリューション
ClouderaのIoT産業リーダーDave Shuman氏(偶然にも筆者の大学時代の同窓生だ)は、公共部門におけるAI利用が将来有望だと見ており、「組織レベルでデータサイエンティストを使って、住民とのエンゲージメントやサービスを改善するための機械学習モデルを構築し、導入する試みが増える」と予想している。
Pegasystemsの公共部門担当プリンシパルPeter Ford氏も、同様の考えを持っているようで、「AIソリューションは、住民に対するサービスややりとりのスピードと品質を支えるために、組織の内外にある既存システムの文脈情報を利用するようになる」と述べている。
賛否両論
楽観的な予想はほかにもある。例えば、Databricksのチーフテクノロジストであり、「Apache Spark」の生みの親の1人でもあるMatei Zaharia氏は、「データサイエンティストの数は今後も増え続ける」と考えている。
Splice Machineの最高経営責任者(CEO)Monte Zweben氏もAI信奉者の1人だ。Zweben氏は、同氏が「オンライン予測処理」(OLPP)と呼ぶ技術の出現を予想しており、この技術が「OLTP、OLAP、ストリーミング、機械学習を1つのプラットフォームで統合する新たなアプローチ」として台頭してくると述べている。同氏はまた、「AIは第2のビッグデータだ」という考えを示している。
ただし、この一見強気すぎるように見える発言は、実際には皮肉を込めたものだ。同氏はこの発言の意図を、「企業は自分たちが必要としているかどうかを顧みないまま、先を争ってそれを実現しようとする」点で2つの技術が似ていると説明している。Zweben氏は筆者と同様に、皮肉を好む人物なのかもしれない。しかし、警告を込めたメッセージを発信しているのは同氏だけではない。
AIに対する過剰な評価への反動
例えば、Arcadia Dataのマーケティング担当バイスプレジデントSteve Wooledge氏と、製品およびソリューション担当シニアディレクターDale Kim氏は、AIは「Hadoopやその他のビッグデータ技術が最近受けているのと同様の扱いを受けるべきだ。IT業界がビッグデータ関連製品に対する過剰な期待を見直そうとするのであれば、AIの登場に対しても過剰な期待は慎むべきだ」と考えている。
DataStaxの開発者向け活動担当バイスプレジデントPatrick McFadin氏も同様に、「AIは深刻な幻滅期に陥るだろう」と述べている。これは人気のあるあらゆるテクノロジに起こることだが、McFadin氏はその理由を「FacebookやGoogleなどのAIを活用している大企業を見ると、AIは簡単に利用できるように思えるが、十分な経験を持たない企業では同じ結果は出せない」と説明している。Wooledge氏やKim氏の指摘は、数年前のHadoopやビッグデータに対するものだとしても違和感がない。
さらに懐疑的な見方もある。Sumo Logicの最高技術責任者(CTO)Christian Beedgen氏は、「AIが短期的に企業のあり方を変えることはない」と断言している。また同氏は、「AIが企業に与える直接的な影響についての従来の予想や主張は、誇張されすぎている」と付け加えている。