海外コメンタリー

アナリティクス分野の2018年とAI、IoT、マルチクラウド - (page 3)

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-01-09 06:30

本番を迎えるAI、機械学習

 ProsperWorksのCEO Jon Lee氏は、「2018年には、過剰な期待ではなく成果に注目が集まる。賢明な企業は、機械学習や自動化の導入によって、目に見えるビジネス上の成果を得ようとする」と述べ、建設的な形で懐疑論とのバランスを取ろうとしている。

 Kineticaの共同創業者でありCTOを務めるNima Negahban氏も、実際的な側面から、「AIの利用が主流になるにつれて、AIはデータサイエンティストが特定の目的のために行う小規模で実験的な取り組みから、自動化され、業務に組み込まれた技術になる」と述べている。さらに同氏は、2018年には「AIのライフサイクル管理に対する投資が増え、データを収容し、プロセスを管理するためのテクノロジが成熟する」とも付け加えている。

 MapRのチーフアプリケーションアーキテクトであり、ビッグデータの分野で一目置かれるエキスパートであるTed Dunning氏も、同様の立場を取る人物の1人だ。Dunning氏は「機械学習は『流行』から『実用技術』になる」と予想し、「企業は、機械学習の成功の90%は(アルゴリズムやモデルではなく)ロジスティクスにかかっていることを理解する」と述べている。

 DatabricksのZaharia氏も、「汎用の機械学習プラットフォームを組織が使いこなすのは難しい」ことは認める一方で、「特定業界に特化した、その業界に共通のビジネス課題を解決するソリューションが、最新の機械学習技術を取り込んで一般的なビジネスプロセスを変革し始める」と考えている。

 またQuest Softwareのソフトウェアエンジニアリング担当エグゼクティブディレクターPatrick O'Keeffe氏は、応用AIには担うべき役割があるとして、AIを否定する考えに疑問を呈している。同氏はデータベース管理者の役割について、「AIや機械学習がデータベース管理者の仕事を駆逐することはない。むしろデータベース管理者は、効率改善の手段を得ることで時間的な余裕が得られ、組織内でより部門横断的な役割を果たせるようになる」と述べている。

モノのインターネット(IoT)

 AIや機械学習とも密接に関連するトレンドに、モノのインターネット(IoT)があるが、IoTに関する予想の多くは、技術の成熟度とROIに関するものだった。

 KineticaのNegahban氏は、「企業はIoTへの投資に利益を求めるようになる」と予想し、「IoTデータを収集して保存するのは手始めとしてはよいが、より大きな意味があるのは、データを理解し、分析し、知見を活用して効率を向上させることだ」と述べている。この発言は、IoTとビッグデータアナリティクス、機械学習が不可分であることをあらためて意識させるものだ。

 IoTを積極的に取り上げている予想はこれだけではない。LogMeInの顧客エンゲージメントテクノロジ担当ディレクターRyan Lester氏は、顧客とのやりとりが電子化されたこの時代には、「IoTが消費者ブランドを救う」と主張している。同氏はさらに、「顧客とのエンゲージメントの際にIoTを利用することで、顧客との関係構築や、顧客のニーズをより深く理解できる継続的なエンゲージメントの創出が容易になる」と付け加えている。

 Hitachi VantaraIoT製品およびエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントRich Rogers氏は、「2018年には、IoT技術によって、工場のソフトウェア定義工場化が急速に加速する」と述べている。同氏はまた、IoTは「データセンターの完全自動運用化が始まる」現象も実現すると考えている(興味深いことに、これらの意見はどちらも、Quest SoftwareのO'Keeffe氏によるデータベース管理者とAIについての主張とは対照的だ)。

 Franz, IncのCEO Jans Aasman博士は、「IoTはスマートシティのコアインテリジェンスを支える」として、「街灯やバス停、自動運転車、公共の自転車、配送用ロボットなどに内蔵されたIoTデバイスは、交通状況、自転車や歩行者の移動パターン、公害、天候、自然災害などの問題についてデータを収集する機会を与えてくれる」と述べている。PegasystemsのPeter Ford氏は、「政府は子どもの出生や引っ越し、転職などの人生における重要な出来事を予測し、対応するようになる」とまで述べている。

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