これから社会を大きく変える動きとして、筆者は「シェアリングエコノミー」を挙げたい。デジタル技術がその動力源となる。ただ、気になるのは、シェアリングエコノミーでどんな社会を目指すのか、だ。
社会を大きく変えうるシェアリングエコノミー
![PwCコンサルティングの野口功一パートナー](/storage/2018/01/04/460da4209411b53426c4abacd44be538/sp_13matsuokaopinion_1.jpg)
PwCコンサルティングの野口功一パートナー
2018年最初の「一言もの申す」連載に当たり、今後を展望する話として、デジタル技術も深く関わるシェアリングエコノミーを取り上げたい。ちょうど先頃、PwCコンサルティングがこの分野の動向について記者説明会を開いたので、その内容も取り上げながら考察したい。
まず、シェアリングエコノミーの定義を明確にしておこう。PwCによると、「シェアリングエコノミーとは、個人などが保有する遊休資産を、インターネット上のプラットフォームを介して他の個人などが必要なタイミングで利用することを可能にする経済活動の総称」としている。
「遊休資産」とは活用されていない資産のことで、宿泊施設や会議室、駐車場などの「場所」、自家用車や自転車などの「移動手段」、家電や衣服などの「モノ」、プログラミングや翻訳などの「プロフェッショナルスキル」、家事やベビーシッターなどの「スキルや労働力」、Peer to Peer(PtoP)型資金調達などの「クラウドファンディング」などが挙げられる。
グローバルでは、ライドシェア(車の相乗り)の「Uber」や民泊仲介の「Airbnb」が急成長を遂げて注目を集めているが、PwCが2017年5月に国内の一般消費者2000人を調査した結果によると、場所など上記のシェアリングエコノミーのサービスのいずれかを知っているのは約3割。調査内容を説明したPwCコンサルティングのパートナーで『シェアリングエコノミーまるわかり』(日経文庫)と題した著書もある野口功一氏によると、「米国と比べると日本での認知度はまだまだ低い」という。