3.責任を持って事業部門の要求を満たす
海洋土木・施設建造会社McDermott InternationalのCIO兼CDOを務めるAkash Khurana氏は、戦略はITリーダーシップの重要な構成要素だと述べている。同氏によればCIOは、組織が協力しながら検証して構築した、実践的な戦略を策定する必要があるという。実践的な戦略が策定され、主なステップが明確に示され、理解されて始めて、ITリーダーは実行段階に進むことができる。
Khurana氏は、「これまでの過程を振り返ってみると、わが社の戦略は常に変化してきた。アプローチは変化を前提とした、実践的で、十分に吟味されたものでなければならない」と述べている。同氏はクラウドを使って機動性を向上させるとともに、オープンで相互に連携したシステムを実現するためにオープンソース企業であるAlfrescoと協力して作業を進めている。
2017年は同社のIT部門にとって、実行の年であり、成果を上げることに力を入れた年だった。同氏の率いるIT部門は、策定した戦略を確実に実行するために、デリバリーのプロセスを管理するための相互に関連した手法をいくつも用いた。
「その結果、われわれは事業部門の期待に応えることができている」とKhurana氏は言う。「事業部門の要求に応えなければ、何をやっても意味がない。わが社のIT部門には、自分たちが優れた戦略を持っており、チームとして事業部門の期待に応えきる責任があるという意識がすり込まれている」
4.組織全体に変化に関与しているという感覚を持たせる
英国の病院財団St Helens & Knowsley Teaching Hospitals NHS Trustの情報担当ディレクターChristine Walters氏は、最高経営責任者(CEO)の直属であり、複数の医療機関のIT予算を管理している。幅広い権限を持ち、公的部門につきものの厳しい資金繰りに追われるWalters氏は、戦略的ビジョンは現実的でなければならないと話す。
「役員を巻き込み、テクノロジが組織にどう役に立つかを理解してもらう必要がある」と同氏は言う。「その後、役員会と約束を交わし、あなたには戦略を実行できると信じさせなくてはならない。成果を出し始めれば、上級役員の理解を得るのはずっと楽になる」
業界や組織によって、事情が大きく異なる場合もある。NHSの場合は、臨床現場からのフィードバックが重要だという。Walters氏は、医療機関のCIOは専門家と連携を取らなくてはならず、専門家の意見が役員会に届くようにする必要があると述べている。「医療機関のCIOにとって、臨床現場からのフィードバックは、IT投資によって目標を達成するのに大きな助けになる」と同氏は言う。
Walters氏は、チームに最高臨床情報責任者と呼ばれる役職を置いている。同氏は「この人物は臨床医が何をしているか、どんなテクノロジが有効かを理解している」と述べている。「最高臨床情報責任者は、IT部門が戦略を実現し、NHS Trustに関わる人たちの支持を得る上で重要な役割を果たしている」
戦略を実行する上では、このように常に連携を取ることが重要だとWalters氏は言う。「戦略と事業部門の要求の間に整合性が取れていることを、常に確認する必要がある。18カ月前の戦略が、今でも通用すると仮定してはならない。さまざまな段階で、一歩引いて見直しを行い、今やっていることに意味があるかを確認すべきだ」と同氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。