信濃毎日新聞は、外部配信する記事の要約を人工知能(AI)で自動生成する実証実験を実施。多様なメディア配信に活用できる自動記事要約システムを構築した。富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用した。ケーブルテレビ(CATV)向けのニュース配信サービスに導入し、2018年4月から本格的な運用を開始する。
富士通研究所が開発した自然言語処理技術と機械学習を組み合わせた自動要約技術を活用したもの。信濃毎日新聞社の過去記事と、それらを人手で要約した記事をセットにした合計約2500セットの記事を自然言語処理および機械学習させることでモデル化した。
実証実験のイメージ(出典:富士通)
実証実験では、1件の記事当たり人手で3~5分を費やしていた要約作業を瞬時に自動実行するとともに、先頭から順に文字数制限の範囲内で文を抽出する要約技術(LEAD法)よりも人手に近い高精度な要約が可能であることを実証した。
LEAD法では、文字数制限に応じて文章の先頭から機械的に抜粋して要約記事を作成するのに対し、新システムでは記事先頭以外からも重要文を抽出して要約する仕組みとなっている。また、システムはウェブAPIで実装されているため、従来のCATV向けニュース配信サービスのワークフローに影響を及ぼすことなく業務に適用できるとしている。
自動要約の例(出典:富士通)
自動記事要約システムを適用することで記事要約プロセスを不要にし、全体プロセスの約5割程度の時間短縮を進める。これによってサービスの運用を迅速化する。
富士通は今後、CATV向けニュース配信だけではなく、電光掲示板ニュースやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など、文字数制限の異なるメディアごとに最適化された要約モデルを構築し、多様なメディアに対応可能な自動記事要約システムの製品化を進める。
プロセスの変化(出典:富士通)