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セキュリティ人材の末路--蜜月関係からの自立を迫られるユーザー企業 - (page 2)

武田一城 (ラック)

2018-01-24 06:00

時間がより強固にする蜜月関係

 ユーザー企業とベンダーの相互依存の関係性は非常に強固だ。ベンダーは契約書に記された事前の取り決め事項はもちろん、明記されていない部分でもユーザーの状況を忖度(そんたく)して最善の努力で対応する。特に大規模システム(例えば、金融機関の勘定系システムや大企業の基幹システム)を構築できる「元請け」と呼ばれる通信キャリアやコンピュータメーカーなどのベンダーが提供するサービスレベルは、世界的に類を見ないほど高く、ユーザー企業のさまざまな要望に対応してきてしまった。

 これが実現できる最大の要因は「頼れる現場エンジニア」の存在だ。このエンジニアはベンダー所属でありながら、ユーザー企業の誰よりも業務に精通していることが珍しくない。このようなエンジニアのおかげで、たとえユーザー企業の担当者が責任を果たさなくてもシステムを稼働させてしまう。

 日本では、ベンダーがこのようなシステム動作のための重要部分を握ることが一般的になった。そのため、いまさらユーザー企業が社内の人材でベンダーに匹敵するレベルを達成することは難しい。日本には「餅は餅屋」という故事もある。物事それぞれにいる専門家に任せた方が良いという意味だが、その“餅屋”であるベンダーが提供するサービスは、ユーザー企業が責任を果たさなくても問題が発生しにくいように最適化されているのだ。賢明なユーザー企業が、むしろこの状況を選択するのは当然かもしれない。

 さらに、このような状況は(たとえユーザー企業が希望しても)時間が経過するほどに変えづらくなる。なぜなら、システム構築の“成功体験”を積み重ねたユーザー企業の担当者は、主任、係長、課長というように昇進していく。そして、ユーザー企業に対応したベンダー側の営業やシステムエンジニアも同じように昇進していく。その結果、現在のシステム担当者の上司同士が、実は20~30年の付き合いだったという状況が珍しくはない。こうしてユーザー企業とベンダーの相互依存の蜜月関係は、“ユーザー企業がそのコストを受容できる限り”連綿と繰り返されていく。


時間がより強固にする相互依存の蜜月関係

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