外国人はアベノミクスを評価
筆者は短期的な相場予測をする場合、常に外国人がどう動くか考えている。外国人投資家が日本株の動きを決めている状況が25年以上続いているからだ。
外国人投資家は投資国の政治の変化に敏感に反応する。政情不安は売り、政治の安定は買いになる。日本の政治は安定しているが、それでも内閣支持率の変化に政権安定度の変化が表れる。外国人は内閣支持率が高いときに買い、低くなると売る傾向がある。
外国人投資家が投資先の政治をチェックする重要な切り口がもう一つある。資本主義政策を推進する政権が支配する国は買い、社会主義(社会福祉を重視する)政策を推進する政権が支配する国は売りと判断する。
2012年末の解散総選挙で民主党政権が終わり自民党政権が誕生した。外国人投資家の目には「社会福祉を重視する政権が終わり、資本主義政策を重視する政権が成立した」と映った。これを受けて2013年には外国人投資家が日本株を15兆円も買い越している。
筆者はかつてファンドマネージャーをやっていた時代に、中東・中国・アメリカなどに出張し現地の投資家とさまざまな議論を重ねてきた。その時に彼らが日本株を見る目がどういうものかを感じ取った。その時の経験を生かして常に外国人の目に日本がどう映っているか考えている。
外国人投資家は今でも安倍政権を評価している。外国人から見て安倍政権が「資本主義色の強い政策を進める政権」と見えている状況が変わっていないからである。米国や英国ですら反グローバル主義や反資本主義を掲げる勢力が強くなっている中、外国人投資家から見て日本は純粋に資本主義を貫いている国と映っている。
安倍政権が消費税率を引き上げながら法人税率を引き下げるのは明らかに資本主義的政策だ。アメリカ抜きのTPP11(11カ国による協定)、日欧EPA(自由貿易協定)の成立に強い意欲を示していることは資本主義的政策である。農業改革の推進、官業(日本郵政・空港など)の民営化推進も資本主義的政策である。マイナンバー導入によって電子政府を推進し、官公庁の労働生産性を高めることも資本主義的政策といえる。
ただ、外国人が日本を見る目が変わりやすいのも事実だ。今後、日本の政治を見る目が変わったと思う局面があれば、本レポートで報告する。
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