“コンポーザブル”で“ポータブル”なアーキテクチャ
Lumadaのアーキテクチャは、「Edge」「Core」「Analytics」「Studio」「Foundry」という5つのコンポーネントから成り立っている。
高速に生成されるさまざまな種類のデータをEdgeに取り込み、収集したデータをCoreに蓄積して“アセットアバター”としてデジタルモデル化する。Analyticsでは、OTとITのデータを融合し、データ分析や機械学習、人工知能などを使ってパターンを抽出する。
Studioは、機器異常の検出や警報をユーザーに通知したり、自動処理プロセスを作成したりする役割を担う。Foundryはオンプレミスやクラウドでの導入を支えるインフラサービス。セキュリティ、マイクロサービス、サポート機能も提供する。
Lumadaのアーキテクチャ(出典:日立製作所)
アーキテクチャの特徴となるのが「コンポーザブル」と「ポータブル」だ。
Lumadaでは、オープンソースソフトウェア(OSS)を中心としたサービススタックを提供する。目的に合わせてサービススタックを組み合わせていくことでIoTシステムを構築できる“コンポーザブル”な仕組みとなっている。既存システムへの追加も容易に行える。
例えば、機器から集めたデータが既にあり、そのデータを使ってIoTシステムを作りたいというニーズや、機器に実装済みの通信方式を生かしてデータを集めたい、稼働中の機器に大きな改変を加えたくないといった要望に応える。
また、IoTシステムを構築する際、効果検証などを実施する概念実証(PoC)のための環境はあまりコストや時間をかけずにクラウドで構築するが、本番環境では大切なデータを社外に出したくないためオンプレミスで運用するというケースがある。
こうした場合でも、Lumadaはクラウドとオンプレミスで同じソフトウェアスタックを稼働させられる。クラウドに関しても、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Hitachi Cloudなどに幅広く対応する。これにより、PoC環境から本番環境への“ポータブル”なシステム基盤を提供する。
企業のデジタル変革を支援
最近の取り組みとしては、2017年10月に「Lumada 2.0/J サービススタック」を発表している。Lumadaを構成するソフトウェア群とデータ活用サービス、SaaS用ビジネス基盤などを体系化したものだ。
データ収集や加工処理などの工程をパターン化することで効率的なシステム開発が可能にする「データ・レバレッジ・サービス」や、ユーザー認証・課金管理・アプリ監視などサービス提供に共通する機能をまとめた「SaaSビジネス基盤」などを提供する。今後もLumadaのソフトウェア群を強化し、順次提供していく予定だ。