本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本オラクルのFrank Obermeier取締役 執行役 CEOと、トレンドマイクロの岡本勝之 セキュリティエバンジェリストの発言を紹介する。
「データドリブンとイノベーションをサポートする会社でありたい」
(日本オラクル Frank Obermeier取締役 執行役 CEO)
日本オラクルのFrank Obemeier 取締役 執行役 CEO
日本オラクルが先頃、報道関係者との2018年賀詞交歓会を開いた。Obemeier氏の冒頭の発言はその交歓会で、2018年の事業方針について述べた中で2つの注力ポイントを示したものである。
日本オラクルの最高経営責任者(CEO)に就任して8カ月が経過したObermeier氏は、これまでの顧客企業との会話から「人材不足への対応」「グローバルへの事業展開」「イノベーションへの取り組み」「コスト削減」といった点が課題として浮かび上がってきていると指摘。「こうした課題に対応するために、お客さまにとってオラクルが今後も信頼できるパートナーであり続けられるように尽力したい」と語った。
その上でObermeier氏は、日本オラクルの今後の注力ポイントとして「データドリブン(データ主導型)」および「イノベーション」の2つのキーワードを挙げ、次のように説明した。
まず、データドリブンとは、顧客企業が保持するデータをこれまで以上に有効活用してもらいたいという思いを込めたキーワードである。この点については、「現在も多くのお客さまにオラクルのデータベースを利用していただいているが、データドリブンはまさしくその延長線上にある取り組みだ。従って、今後もオラクルが引き続き、お役に立てると確信している」と自信をのぞかせた。
もう1つのキーワードであるイノベーションは、オラクルが提供する製品やサービス、さらに人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、ブロックチェーンなどといった先進技術を駆使して、「お客さまが取り組むイノベーションを実現できるようにご支援するパートナーでありたい」との思いを込めたものである。Obermeier氏はとりわけ先進技術について、「オラクルは今年度、研究開発に50億ドル以上の投資を行っている」と語り、“テクノロジカンパニーぶり”を印象づけていた。
さらに、同氏はイノベーションを実行するための基盤が必要になると指摘。その基盤には人材や資産もさることながら、ITプラットフォームも不可欠だ。「オラクルはそうしたニーズにお応えするクラウドサービス群を提供している」と同氏。クラウドサービス群を「イノベーションツールボックス」と表現していたのが印象的だった。
2018年はObermeier氏にとっても経営手腕が問われる年となる。そんな同氏の発言に、引き続き注目していきたい。