日本マイクロソフトは1月18日、秋葉原で同社の混合現実(Mixed Reality:MR)技術基盤「Microsoft HoloLens」の開発者向けイベントを開催した。HoloLensの日本市場投入1周年を記念したものでユーザーや開発者、パートナー企業関係者など200人以上が参加した。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上智子氏
冒頭のあいさつで業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上智子氏は、HoloLensの取り組みを振り返り、企業での実証実験の広がりや開発者コミュニティーの盛り上がりが、米Microsoft本社から大いに注目されていると報告した。
HoloLensの業務活用を試みる企業は、パイロットや整備士の訓練用アプリケーションを開発する日本航空(JAL)を皮切りに、2017年は三菱ふそうトラック・バスや博報堂、小柳建設、稲波脊椎・関節病院などが実証実験を行った。この1年で運輸や製造、建設、医療など多くの業種の現場に、MR技術で業務効率化や生産性向上に取り組む動きが広がっている。
マイクロソフトは、2017年10月に「Mixed Reality パートナープログラム」をスタート。この日のイベントで新たに、測量などの「空間情報」技術を建設業向けに展開するインフォマティクス、ビジネスコンサルティングのKPMG コンサルティング、ユーザーインターフェース開発などを手掛ける南国ソフトの加盟が発表され、参加企業は9社になった。新規の3社はいずれも顧客企業とHoloLensを用いた業務アプリの開発を試行中で、インフォマティクスは鴻池組とビル工事の施工確認、東急建設と設備保守の効率化に関する実証を進める。
三上氏は、2018年のHoloLensおよびMRの目標として、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、クラウドなどの技術と融合する新たなアプリケーションの開発、業務システムとしての実導入フェーズへの移行、MRアプリケーションの日本から海外への展開を掲げた。
テクニカル エバンジェリストの高橋忍氏
また、テクニカル エバンジェリストの高橋忍氏が技術動向を振り返り、1年ほど前は仮想現実(VR)や拡張現実(AR)が先行してMRという概念の説明に苦慮したとのエピソードを披露した。しかし現在では、MRがVRやARも包含するものとして理解され始めているといい、将来的には、MRが場所や物の実態といった制約を乗り超えて人々のコラボレーションを可能にするものだと紹介。この1年に開発ツールで提供する機能が大幅に増え、複数のHoloLensがあればサーバレスでコラボレーションができるようになったとしている。
会場では参加者が自前のHoloLensを身に付けて、アプリケーションの開発やMRコンテンツの魅力などを語り合いながら交流を深めていた。