テクノロジはあらゆる業務分野において恒常的な基盤となっているかもしれないが、ITのメリットが幅広く理解されているとは限らない。企業は、業務部門とかかわり合い、デジタル時代において、データから最大限の価値を引き出すために手を貸せる新世代のエンタープライズアーキテクトを求めていることが調査によって示されている。
世界の最高情報責任者(CIO)を対象に、KPMGと人材紹介会社のHarvey Nashが共同で実施した2017年の調査では、回答者の3分の2近く(61%)が、ITプロジェクトは5年前と比べて複雑になったと答えている。また企業は、デジタル戦略の実現を支援するためのエンタープライズアーキテクトを渇望しており、その需要は2016年に比べて26ポイント増加し、IT関連のスキルとして最も成長が著しいものとなっている。
Harvey Nashの社外取締役であり、Rolls-Royceの元CIOでもあるJonathan Mitchell氏によると、エンタープライズアーキテクトの役割がテクノロジの利用方法の変化にともなって進化しているという。同氏は「スキルに対する要求が、従来のITサポートに関するものから、テクノロジ分野や情報分野で起こっていることに関する業務部門の理解を助けるというものに変わってきている」と述べている。
米ZDNetは、この新世代のエンタープライズアーキテクトとはどのような人材なのかや、業務部門がこうした人材の能力をどう活用するのか、才能あるITプロフェッショナルの役割が今後どのように進化していきそうかについて、4人の専門家に話を聞いた。
組織は、複雑な物事をシンプルにするIT要員を必要としている
Tullow Oilの元CIOであり、現在はデジタルアドバイザーを務めているAndrew Marks氏によると、ITリーダーはエンタープライズアーキテクトの役割がどのように進化してきているかを理解することが重要だという。同氏は、実際のところ2つの異なるタイプがあると述べている。1つは、The Open Group Architecture Framework(TOGAF)に基づく訓練を受けた従来型のアーキテクトだ。このタイプのアーキテクトは、業務上の目標と組織のプロセスをIT戦略と結びつける役割を担っている。
もう1つのタイプはより新しく、業務上のニーズと技術的なイノベーションの間の橋渡しを支援する役割を担う。このタイプの才能あるITプロフェッショナルは、さまざまなテーマを1つにまとめ、最善のアイデアを整合性あるかたちで提示する専門家だ。Marks氏によると、このタイプのエンタープライズアーキテクトに対する需要は今後も高まり続けるという。