企業は、業務部門と積極的にかかわり合える、統合力を持ったIT人材を求めている
KPMGのCIOアドバイザリープラクティスを担当するグローバル責任者Lisa Heneghan氏によると、企業がデータへの依存度を高めるようになるとともに、エンタープライズアーキテクトに対する需要も高まり続ける見込みだという。同氏は「業務の要件をテクノロジの仕様に置き換えていく場合、エンタープライズアーキテクトが必要となる」と述べている。
「幹部は、テクノロジによって組織の各所にもたらされる影響を見渡せる人材にアクセスできなければならない。企業は過去20年にわたって機能というサイロのなかで運営されてきた。デジタルという言葉のなかには、企業がエンドツーエンドのプロセスと水平統合を考えなければならないという意味が含まれている。エンタープライズアーキテクトは、こういった複雑なクモの巣において重要な役割を演じられる」(Heneghan氏)
Heneghan氏によると、これまでのエンタープライズアーキテクトの役割には保守的な作業手順が含まれており、そうした手順の多くは柔軟性に欠けていた可能性があるという。しかし今や、企業は業務のイネーブラーとしてのエンタープライズアーキテクトを求めている。ものごとの進め方を新たな角度から見るという点について、よりポジティブかつオープンな態度をとれるスペシャリストを必要としているのだ。
Heneghan氏は、「成否を分ける要素は統合にある。これこそ、エンタープライズアーキテクトが業務にもたらさなければならないものだ。エンタープライズアーキテクトは外に向かってリーチできるよう、積極的にかかわり合うためのスキルをしっかり磨く必要がある」と述べている。
「こうしたスキルを有した人材の獲得が難しく、需要が高い理由はここにある。業界を熟知しており、利用可能なテクノロジの幅広さを理解できる人々は、砂金のような存在だ。私は、どのようにしてエンタープライズアーキテクトを育成していくかということが、企業にとっての向こう5年間の大きな課題になると考えている」(Heneghan氏)