情報処理推進機構(IPA)は1月24日、同機構が運営するソフトウェアの脆弱性対策情報データベース「JVN iPedia」の登録状況を発表した。2017年の情報登録は前年比2倍以上の1万3792件に達し、2007年4月以降では過去最多だった。
2013年以降のJVN iPediaでの登録件数の推移(出典:IPA)
JVN iPediaでは、国内のソフトウェア開発者が公開した脆弱性対策情報や、JPCERT コーディネーションセンターらと共同運営する脆弱性対策情報ポータルサイトJVNでの公開情報、米国立標準技術研究所NISTの脆弱性データベース「NVD」での公開情報を集約、翻訳している。
2017年に登録された情報のうち約92%(1万2804件)は、NVDで公表されたもの。これは、米国で脆弱性を識別するための「CVE(Common Vulnerabilities and Exposures:共通脆弱性識別子)」の採番機関を認定する基準が緩和されたことを受け、脆弱性情報の登録数が大幅に増えたためだとしている。
2017年第4四半期(10~12月)の情報登録は3719件だった。脆弱性の種類別では、バッファエラーが715件で最も多く、以下はクロスサイトスクリプティング(398件)、情報漏えい(371件)、認可・権限・アクセス制御不備(299件)、不適切なアクセス制御(253件)。最多のバッファエラーの脆弱性は、悪用された場合に不正なコードの実行によって、データの窃取や改ざんなどの被害に遭う恐れがある。
ソフトウェアの種類別では、全体の74.0%をアプリケーションが占めるが、近年は産業制御用システムの脆弱性情報も増加。2017年は223件の登録があり、2年連続で登録件数が200件を超えている。
またIPAは、2020年1月にサポートが終了するMicrosoftのWindows 7およびWindows Server 2008にも言及。2017年に登録があった両製品に関する脆弱性情報は、Windows 7が231件、Windows Server 2008が242件で、いずれも26%が深刻度で最も高い「危険」に分類されるものだった。サポート終了製品の継続利用は、脆弱性が修正されないなどセキュリティの観点から危険であり、組織のシステム管理者などに早期の対応を呼び掛けている。
2017年に情報登録されたWindows 7およびWindows Server 2008の脆弱性の危険度別割合(出典:IPA)