今週の明言

シスコが挑む「中小企業の働き方改革」

松岡功

2018-01-26 11:04

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、シスコシステムズの高橋慎介 専務執行役員と、富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰 代表取締役社長の発言を紹介する。


シスコシステムズの高橋慎介 専務執行役員

「中小企業の働き方改革に貢献したい」
(シスコシステムズ 高橋慎介 専務執行役員)

 シスコシステムズが先頃、「Cisco Start」ブランドで展開する中小企業向けネットワーク機器製品群の強化を発表した。同社の専務執行役員でパートナー事業を統括する高橋氏の冒頭の発言は、その発表会見で、Cisco Startによる中小企業向け事業へのさらなる注力ぶりを述べたものである。

 2015年9月に販売を開始したCisco Startは、日本の中小企業のニーズに対応した製品開発、販売チャネルや営業体制の強化、ルータ、スイッチ、無線LAN製品に始まり、「Cisco WebEx」などのクラウドサービスに至るまでポートフォリオを拡充。シンプル(簡単)ながらスマート(高機能)でセキュア(安全)なソリューションであることを基本コンセプトとしている。

 高橋氏によると、販売開始から2年半を経過した中で、価格面、安定性や機能性において好評を得ており、当初従業員数100人以下の企業をターゲットとしていた展開が、「より幅広い企業規模のお客さまにも導入されるようになってきた」という。

 具体的には、売上構成において、43%が従業員数100人以下、42%が同101〜1000人、15%が同1000人以上となっており、当初は従業員数100人以下よりも、101人から1000人の企業から導入が始まったそうだ。

 今回の強化に当たり、同氏がテーマとして掲げたのが、冒頭の発言にある「中小企業の働き方改革に貢献したい」、すなわち、中小企業が抱えるIT化による生産性向上の課題に応えたいということだ。

 同氏は働き方改革に伴うIT環境のニーズとして、ネットワーク、セキュリティ、コラボレーションの3つの観点から、図に示したようなポイントがあると説明。今回の強化内容としては、働き方改革を実現するポートフォリオの拡充を軸に、日本市場に向けた新たな戦略として、「ブランドの強化」「製品・価格戦略の強化」「販売体制の強化」の3つを打ち出した。


図:働き方改革におけるITニーズ(出典:シスコシステムズの資料)

 ブランドの強化については「ITへの取り組みを分かりやすく」、製品・価格戦略の強化については「新製品投入と新価格設定」、販売体制の強化については「地域・業種に根ざした営業体制」といったところがポイントになるという。詳しい内容については発表資料をご覧いただきたい。

 2017年度(2017年7月期)の売り上げの伸びが前年度比2.4倍を記録したCisco Startは、今後もますます勢いをつけそうだ。そこで期待したいのは、導入効果を明示した事例の公表だ。会見の質疑応答でその点を聞いたところ、「お客さまごとに異なるので一概に言えない」とのことだったが、中小企業にとって導入効果は切実な問題なので、何か工夫がほしいところだ。それが、さらにCisco Startの普及拡大に弾みをつけることにもなるだろう。

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