「PCの進化はまだまだ止まらない」
(富士通クライアントコンピューティング 齋藤邦彰 代表取締役社長)
富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰 代表取締役社長
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が先頃、法人向けPCやタブレットなど8シリーズ20機種を販売開始すると発表した。齋藤氏の冒頭の発言はその発表会見で、PCが今後も進化し続けることを強調したものである。
齋藤氏は会見で、「富士通ならではの匠の技」として、「PCビジネス37年のノウハウでお客さまにベストフィットな商品を提案」してきたことに加え、「ユーザーの要望に応じ、オーダーメイドで設計・製造」および「ユーザーが望むリードタイムで対応」してきたことを挙げた。
その上で、冒頭の発言にある「PCの進化はまだまだ止まらない」と述べ、図を示しながらその理由を次のように語った。
図:コンピューティングの広がり
「コンピューティングの広がりという点でいえば、現在は既存商品にモビリティやセキュリティなどの付加価値が進化している段階。将来、エッジコンピューティングの普及が見込まれる中で、PCをはじめとしたデバイスを手掛けている当社のアセットが必ず生きると考えている」
エッジコンピューティングの普及を見据えた製品づくりは、PCベンダーではなくシステムベンダーの発想だ。富士通のDNAを持つFCCLらしいところといえる。
今回の同社の発表内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは法人向けPCにカスタムメイドメニューとして新たに提供される秘密分散ソフトウェア「Portshutter Premium Attachecase」(ポートシャッター・プレミアム・アタッシュケース)に注目したい。
このソフトウェアでは、作成したファイルを復元できないデータに変換・分散してPCとサーバに自動で保存するため、この2つの分散片がそろっている場合のみデータを復元し、閲覧・編集を行うことができる。外出時はサーバに保存した分散片をBluetoothで接続したスマートフォンなどに保存、PC本体にはもう一方のデータの分散片しかないため、PC盗難・紛失時でもファイルを復元することができず、情報漏えいを抑止できる。
また、外出先やネットワークがつながっていない環境でも持ち出したデータを閲覧・編集することができる。大規模なシステム改修をすることなく、ファイルサーバを導入するだけで容易にセキュアな環境を構築することができるため、ユーザーの運用コスト削減に貢献するとしている。
FCCLは先頃、レノボグループとの合弁会社になることが発表されたが、齋藤氏の発言には「PCの進化は自分たちがリードする」との気概が感じられた。エッジコンピューティングに向けて、同社がどんな役割を果たすか、注目しておきたい。