日本IBM、高度なセキュリティ人材を社内で100人育成へ

國谷武史 (編集部)

2018-01-29 16:53

 日本IBMは1月29日、2018年のセキュリティ事業戦略を発表した。戦略の一環としてサイバー攻撃などのインシデント発生時に対応の指揮などができる高度なスキルを持つ人材を社内育成する「セキュリティー・インテリジェンス・センター」を同日付で設立した。

「セキュリティー・インテリジェンス・センター」の概要''
「セキュリティー・インテリジェンス・センター」の概要

 セキュリティー・インテリジェンス・センターは、日本IBM社内でインシデント対応経験を持つ人材やセキュリティ研究開発機関「IBM X-Force」の研究者、脅威アナリスト、システム侵入テストやCSIRT運用などの専門家20人体制を発足。2020年までに100人体制にする。

 人材育成の候補となるエンジニアは社内から選出し、実際に発生するインシデント対応や研修を通じて、被害発生の阻止や抑止、再発防止などに必要な技術やコミュニケーション、プロセス、ビジネスに関するスキルを習得させる。習得後は、セキュリティ監視センター(SOC)のエキスパートや顧客企業を支援するコンサルタントなどとして現場に派遣する。将来的には、セキュリティ人材の内部育成を検討する顧客企業への対応も視野に入れる。


日本IBM 執行役員 IBMセキュリティー事業本部長の纐纈昌嗣氏

 同日の記者会見では、2017年12月に執行役員 IBMセキュリティー事業本部長に就任した纐纈昌嗣氏が戦略を説明した。同氏はSplunkやSophosの日本法人トップなどの歴任し、その経験から「セキュリティ対策では個別の製品やサービスのみならず、包括的なソリューションを提供する必要があり、日本IBMにはそれが可能」と話した。

 事業戦略の中で同社は、サイバー攻撃防御や脆弱性管理、ID管理、暗号化ソリューションなどの製品・サービス、Cisco Systemsらパートナーとの協業ソリューションを幅広く提供しているが。その中心に認知技術「Watson」やX-Forceの知見などを活用する「セキュリティー・インテリジェンス」を位置付ける。インテリジェンスのソリューションとしては、セキュリティ情報・イベント管理(SIEM)の「IBM QRadar」やインシデント対応支援の「IBM Resilient」、脅威情報の統合分析基盤「IBM i2」などがある。

 新設のセキュリティー・インテリジェンス・センターは、これらインテリジェンス関連ソリューションの提供における人材面での拠点に位置付ける。纐纈氏は、「顧客のセキュリティ課題に対して単に解決方法を提案するだけでなく、実際に答えを提供することが重要だ」と説明する。

 経済産業省などの分析によれば、国内では高度なスキルを持つセキュリティ人材が不足しているとされ、スキルを持つ人材の“獲得合戦”が企業間で繰り広げられている状況とのもある。日本IBMは社内の人材を育成することで、こうした状況に対処する狙いもあるようだ。


IBMは生物の免疫機能をサイバーセキュリティのコンセプトにしている

 この他の施策では、SaaSで提供するセキュリティサービスの顧客満足度の向上を担う営業チームを発足させる。また、セキュリティソフトウェア製品の販売拡大を目的に、事業パートナーを連携して導入事例の研修会を定期的に開催していくという。

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