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「ERPの終わりの始まり」--サブスクリプションモデルのZuora創業者

怒賀新也 (編集部)

2018-02-01 07:30

 デジタルトランスフォーメーション実施の必要性が叫ばれる中で、企業の収益を左右する事業モデルに根本的な変化が起こるとの指摘が増えてきた。その一つが、雑誌の定期購読にもなぞらえる「サブスクリプションモデル」である。

 品物の購入で終わる関係ではなく、月額モデルなどで顧客が対価を支払い、契約に応じて品物を利用する。サブスクリプションモデルを実施するためのソフトウェアを提供するZuoraの創業者で最高経営責任者(CEO)、Tien Tzuo(ティエン・ツォ)氏に話を聞いた。

 Tzuo氏は、サブスクリプションモデル実施の例として、Fordがカーシェアリングや駐車場予約といったサービスを提供するようになったことを挙げる。「Fordは自動車メーカーからサービス事業者へと変貌を遂げる」とTzuo氏。ポルシェは月額2000~3000ドルで車両の登録代金から保険、税金、保守費用を含めたサブスクリプションサービスを提供する。顧客のニーズに柔軟に対応し、売り切りでは得られない顧客との長い関係を継続できる点が、サブスクリプション型の事業モデルの魅力と言える。

Zuoraの創業者で最高経営責任者(CEO)、Tien Tzuo(ティエン・ツォ)氏
Zuoraの創業者で最高経営責任者(CEO)、Tien Tzuo(ティエン・ツォ)氏

 定期購読型で使用料を支払うサブスクリプションビジネスに取り組む企業は、一般消費者やエンタープライズといった垣根を持たず、新たなビジネスモデルへの変革を自ら起こそうとしているのが特徴だ。Zuora Japan社長の桑野順一郎氏は「アプリを通じたサブスクリプションモデルで1日1杯までならラーメンを定額で楽しめるサービスも始まった」と笑顔を見せる。

 こうした新たな事業モデルを展開するためには、サブスクリプションモデルに対応したマネジメントシステム自体にもかかわるとし、それを提供するのがZuoraであるとTzuo氏は強調。「これは、これまで主流であったERPの終わりの始まりを意味する」と話す。

 ERP(統合基幹業務システム)は、1990年代から普及し始め、オンプレミスシステムとして、現在も数多くの企業が基幹システムとして活用している。だが、要件定義について、すべて開発前に確定しなくてはいけないウォーターフォール型の開発手法であることなどを背景に、システム構成が静的であるといった特性がある。

 日次の売り上げ集計や人事労務管理、定型の需要予測などユーザー企業の事業モデルが固まっている場合などは、ERPはその処理能力の高さから、夜間バッチなどの使い方を交えながら効率的な事業管理につながる。

 だが、サブスクリプションをベースとした新たなビジネスモデルを構築する際には、ユーザーであるサブスクライバーを中心に、サービスや顧客体験、チャネルなどの関係を固定せず、状況に応じて柔軟に組み替えていく必要が出てくる。

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