求められるITモダナイゼーション支援の全体像
改めて、ITモダナイゼーションというのは、企業の情報システムで稼働しているハードウェアやソフトウェアなどを、稼働中の資産を生かしながら最新の製品や設計で置き換えることである。特に、長年使われてきたメインフレームやオフコン(オフィスコンピュータ)を中心とする基幹系システムの刷新を意味する場合が多い。本コラムでも以前に「日本のIT大手4社が“メインフレームのモダナイゼーション”に取り組む理由」と題して、富士通、NEC、日立製作所、NTTデータによる協業の動きを取り上げた。
そんなことから、メインフレームやオフコンによるシステムの刷新とのイメージが強いので、つい「Windowsの更新はITモダナイゼーションなのか」と考えがちだが、既に大半の企業でWindowsおよびOfficeが利用されていることを踏まえると、これらを新しいものに入れ替えるのも確かにITモダナイゼーションだろう。
ただ、筆者が気になったのは、ITモダナイゼーションを掲げながら、今回の会見ではWindowsやOfficeの更新の話にとどまっていたことだ。その点を質疑応答で聞いてみたところ、平野氏は次のように答えた。
「ITモダナイゼーションの対象が幅広いことは重々承知している。今回はWindowsやOfficeのサポート終了に伴う移行を促進するメッセージをお伝えすることにフォーカスしたが、企業のIT環境全体の刷新へ向けたマイクロソフトのITモダナイゼーション支援策については今後もどんどん拡充し、会見でもお伝えしていきたい」
筆者の記憶では、マイクロソフトはこれまでITモダナイゼーションという言葉をあまり使用してこなかった印象がある。強力なサーバ製品やクラウドサービスを持つ同社ならば、ITモダナイゼーションに向けた製品・サービスのラインアップも企業規模に応じてきめ細かく提示できるだろう。今後もITモダナイゼーションを掲げるならば、ぜひともユーザーに分かりやすいソリューション全体像を示してほしいものである。