大塚商会は、2017年度(2017年1~12月)の連結業績を発表した。
売上高は前年比7.4%増の6911億円、営業利益は11.9%増の443億円、経常利益は11.5%増の454億円、当期純利益は18.3%増の315億円となった。
大塚商会の大塚裕司社長は、「8期連続の増収増益。利益は2桁成長を遂げ、過去最高益を更新した。公表予算に対しても、すべての項目で達成した。順調に右肩上がりで業績が推移している。経常利益率は6.6%と過去最高になった」と総括。「2017年下期以降、控え気味だったIT投資が回復し、特に大手企業の案件が回復してきた」という。
大塚商会の大塚裕司社長
2017年第4四半期(2017年10~12月)は、売上高が前年同期比8.7%増の1746億円、営業利益が8.8%増の111億円、経常利益が8.3%増の114億円、当期純利益が17.1%増の81億円となった。「売り上げ、利益ともに、第4四半期としては過去最高を記録した」という。
通期のセグメント別連結売上高は、システムインテグレーション事業が前年比8.6%増の4087億円。サービス&サポート事業が5.8%増の2820億円。そのほかの事業が4.4%減の3億円となった。
「システムインテグレーションが伸びて、それをサービス&サポートが支えるという本来の大塚商会の姿に戻ってきた」とした。SI関連商品の売上高が10.8%増、受託ソフトで8.7%増、サプライで8.4%増、保守などが5.7%増などとなった。
複写機の販売台数は、前年比1.7%減の4万3807台。そのうち、カラー複写機が0.3%減の4万1942台。PCは3.8%増の88万7640台。サーバは5.1%減の3万1232台。タブレットを含むクライアント合計では2.6%増の92万7835台となった。
「複写機は通期で前年割れの結果となったが、第4四半期には前年実績を上回っており、回復傾向に転換している。サーバは、過去の十数台が1台にまとまるような状況にある。ストレージの容量ははるかに増えている。台数で5%減であれば、依然として堅調な市場だと考えている」とした。
また、「PCは、JEITA(電子情報技術産業協会)では、第3四半期には7.7%減、第4四半期には2.0%減であることに比べると堅調である。Windows 10への移行が進んでいるほか、Windows XPの延長サポート終了に伴う特需から5年を経過し、二巡目重要が始まっている。2018年は、2in1PCなどにも注目が集まっており、働き方改革の提案も行っていける。Windows XPのときのような火事場のような状況は避けたい。2018年から、PCの販売台数の拡大にもしっかりと挑戦していく」と語った。
2016年の正社員数は、前年に比べて120人増加して、8658人。1人あたりの売上高は7983万円と、前年比447万円増となり、過去最高になったという。「1998年に比べると、1人あたりの売上高は87.4%増、1人あたりの営業利益は17.6倍になっている」という。
大塚商会単体の売上高は、前年比6.9%増の6246億円、営業利益は10.2%増の397億円、経常利益は10.0%増の411億円、当期純利益は16.6%増の288億円となった。
そのうち、重点戦略事業に位置付ける「たのめーる」の売上高は前年比5.1%増の1535億円、オリジナル統合業務ソフト製品の「SMILE」が10.7%増の108億円、ナレッジマネジメントシステムの「ODS21」が8.2%増の559億円、セキュリティビジネスの「OSM」が0.6%減の675億円となった。
「たのめーるは1500億円規模に拡大してきた。一方で、OSMはおととしのランサムウェアの被害が広がったことの反動があり、前年割れとなった」としている。
オフィス向けサプライ通販の「たのめーる」は7.9%増の142万5046口座となり、ドアオエープンナーとしての機能を果たしている」とした。
ASP(クラウドを含む)は211万人が利用。サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は2660億円、構成比は42.6%に達したという。
2018年度(2018年1~12月)の業績見通しは、売上高が前年比4.2%増の7200億円、営業利益が6.6%増の473億円、経常利益が5.6%増の480億円、当期純利益が1.0%増の318億円を目指す。
「7000億円企業は、日本には202社しかない。そのなかの1社として、社会的責任も高まる。恥ずかしくない業績を上げていきたい」とした。
セグメント別売上高見通しは、システムインテグレーション事業が4.3%増の4264億円、サービス&サポート事業が4.1%増の2935億円とした。
「2018年は、国内外ともに緩やかな景気回復を継続し、攻めのIT投資や生産性向上、コスト削減ニーズが高まる一方、人手不足へ対応、省人化ニーズにも注目が集まる。AIやIoTなどの新たなIT技術への関心が高まるほか、働き方改革のさらなる進展、企業のIT活用ニーズ、省エネニーズは底堅いと見ている」とし、大塚商会では、2018年の方針として「オールフロントでソリューションを生かし、信頼に応える」を掲げたことも示した。
前年同様に、地域営業部主体の運営による現場力および顧客接点の強化、顧客との取引品目の拡大やクロスセル、働き方改革の推進および支援、ネットワークソリューション提案の強化を図るほか、AIやIoTなどの取り組み強化を行う。
「単品製品だけを取り引きしている顧客が65%を占めている。当社が扱っているオフィスで使用できる製品は約10カテゴリがある。複合提案していく必要があり、そのためには地域密着型を強化し、プラスワンの提案を推進していく」と述べた。
中でも、AI活用に関しては、電話オペレーターによる対応時の回答ポップアップや音声自動テキスト化で活用。さらに、全社ビッグデータ活用においても、予測分析やマーケティングオートメーション、シナリオ設計などについてAIを利用。社内利用では、社内サイトにおいて、同社キャラクタの「PC君」が受け答えするチャットボットの例があるという。
「現在、社内の15システムでAIを活用しており、社員はより価値の生むことに時間を使えるようになった。AIの活用はさらに増やしていく予定であり、この成果を外に見せていくようにしたい」と語った。
働き方改革の成果
さらに、社内の働き方改革では、2017年7月から営業職を対象にしたテレワークの試験運用を開始。半休制度、在宅勤務制度もスタートしている。「これまで大塚商会が取り組んできたのは、働き方改革の連続であり、自社事例の経験や成果を、お客様の働き方改革支援に活用。労働環境の整備やテレワーク、残業抑制などの豊富なメニューとして提供する」と述べた。
同社では、1998年に比べて、売上高は3117億円から6247億円へとほぼ倍増、社員数は6621人から7080人へと微増。休日数は118日から127~129日となり、休日の増加日数はほぼ半月分に当たるとした。「今後も社員数は微増で、生産性を高めていく。残業を減らすだけでなく、休日日数を増やして、より豊かな生活を送れるようにしたい。ITを使った生産性向上の成果を、お客様に提案していく」とした。
なお、投資戦略についても言及し、「投資したい案件があれば投資したいと考えているが、いま欲しいと思える案件がない。また、投資をして、立て直して、大塚商会のカラーにしていくのにも時間がかかる。キャッシュはあるが不要な投資は考えていない。欲しいと思ったときに買える資金を持っていることは大切である」とした。
なお、同社では、プライベートイベントとして41回目の開催となる「実践ソリューションフェア 2018」を、東京で2月7日~9日に開催する予定であるほか、大阪では2月15~16日、名古屋では21~22日の開催の予定だ。会期中に、2万2600人の来場者を見込んでいる。
発表会のスライドを下で紹介する。