--価格の最適化には、社内外のものを含めて、どのようなデータが必要ですか。
スタート地点は社内のデータであるべきです。これには、顧客の規模、競合要因、地域や業界などのセグメントなどが含まれます。ほかの条件が同じにもかかわらず、有利な価格で結ばれた契約には、特に注目する必要があります。これらの商談こそ、AIのモデルに学習させたい事例だからです。社内のCRMデータからモデルを構築したら、そこにマクロ経済の変数や天候パターンなどの、価格モデルに関係する社外のデータセットを取り込みます。
--AIとほかの技術のどちらを使うべきかは、どうやって判断すればよいのですか。
価格の最適化を始めたばかりの企業であれば、すぐに結果を出せる、ルールベースのモデルから始めるのがよいでしょう。この種のモデルは、ビジネスの制約やベストプラクティスから導き出された、あらかじめ設定されたルールに基づいて助言を提供します。ルールベースのアルゴリズムの場合、ほかの条件にかかわらず、製品 = Sales Cloudかつ競合相手 = Xなら、値引き幅 = 10%などといった結論を出します。あらかじめ設定されたルールのないモデルであれば、Sales Cloudと特定の競合相手のすべての履歴データを調べ、そのデータに内在するパターンをあぶり出し、値引き幅を助言します。
AIが使えるかどうかを決定する最大の要因は、利用できるデータの量と質です。AIを使ったソリューションを検討するためには、交渉プロセスで交わされる、意味のあるすべてのシグナルを盛り込める、適切に構造化されたトレーニング用のデータを収集する手段が必要です。考慮すべきほかの要因には、業態の変化の速さ、製品ラインの値引き幅のばらつき、営業担当者がAIソリューションを信頼し、使えるようになるまでに必要な手間、営業プロセスの複雑さなどがあります。
--よいモデルを作るために考慮すべき変数には、どんなものがありますか。
最終的な価格に影響を与える可能性のある変数は、すべて考慮すべきです。以下のような変数が含まれますが、ほかにも考えられます。
- 顧客に関する変数の例:顧客の規模、業界、顧客満足度
- 製品に関する変数の例:製品の種類、より大きな契約の中のその製品の占めるウエイト、契約に含まれるほかの製品の数
- 契約に関する変数の例:地域、競合相手、契約の過程で行った活動やアクション(役員との打ち合わせ、業界イベントや企業イベントなど)
特に注意すべきなのは、アクションに繋げられるすべての変数を取り込むことです。それらの変数は、営業担当者が交渉の中で実際にコントロールし、操作することができるレバーであり、これには例えば、数、契約期間、支払い条件などがこれに含まれます。営業担当者は、契約期間を12カ月から24カ月にすれば、高い割引率を提示できるかも知れません。