The Linux FoundationのエグゼクティブディレクターJim Zemlin氏は、2014年に次のように述べている。
異なる業界の企業が集まって開発リソースを共有し、オープンソースの共通のコードベースを作り、それを基盤として差別化した自社の製品やサービスを作るという新たなビジネスモデルが登場した。
Hall氏は以前を振り返って、「私は、『クローズドソース』は歴史の通過点にすぎないと考えている」と語っている。またRaymond氏は、オープンソースが成功したことを当然視している。同氏は電子メールによるインタビューで、「確かに、あれから20年経った。しかし、かなり前に、重要な戦いのほとんどに勝利していることを考えれば、それは大したことではない。かなり前というのは、1998年から10年間くらいのことだ」
同氏は次のように続けている。「それ以降に取り組まれている主な問題は、失敗にともなう問題ではなく、成功したことで生まれた問題だ。例えばアップグレード手段のないIoTデバイスなどの、まったく新たな種類の問題が出てきている。これは、そもそもパッチが適用できなければ、ソフトウェアがオープンになっていてもあまり意味がないというものだ」
同氏は「勝利の結果得られたものが、別の戦いだというのはよくあることだ」と結んでいる。
オープンソースは、それらの新たな戦いにも勝利しようとしている。Red HatのCEO兼プレジデントJim Whitehurst氏は、筆者に次のように語った。
オープンソースの未来は明るい。われわれは、今まさに到来しようとしている新たなイノベーションの波の最前線にいる。IoT(モノのインターネット)のおかげで、情報は物理的なオブジェクトから分離されようとしている。次の10年間で、業界全体がオープンソースの概念を基盤とするようになり、情報の共有や、協力してイノベーションに取り組むことが主流になるだろう。この影響は、医療や教育、公的部門などの非営利部門から、情報の共有が成果の向上につながることに気づいたグローバル企業に至るまで、あらゆる部門に及ぶ。オープンで参加型のイノベーションは、世界中で生産性向上のカギとなるはずだ。
オープンソースは、ソフトウェア開発手法以外の分野にも拡大していると考えている者もいる。Red Hatの先端技術担当シニアディレクターNick Hopman氏は、次のように述べている。
オープンソースは、テクノロジを開発して公開するためのプロセス以上のものだ。オープンソースは社会のあらゆる側面における変化を促進する触媒であり(公的部門、政策、医療診断、プロセス改革など、好きなものを想像してほしい)、オープンソースソフトウェア開発の経験を通じて磨かれてきたオープン性の原則は、変化やイノベーションを促進するコミュニティを作るために活用できる。オープンソースは今後も技術のイノベーションを促進していくだろうが、私はオープンソースがこれまで考えられなかったような形で世界を変えていくことの方に興奮を覚えている。
その通りだ。オープンソースは20歳になったが、その影響はソフトウェアやビジネス以外にも広がり、今後何十年も続いていくだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。