モデルルームへの来場確率を大幅アップ--関電不動産開発のMAツール活用法

藤本和彦 (編集部)

2018-02-07 07:00

 不動産会社の関電不動産開発は、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入することでネット中心に変化する顧客行動をつかみ、マンションなどの販促支援に生かしている。同社が進めるデジタルマーケティングの取り組みを紹介する。

 同社は関西圏を中心に分譲住宅事業・ビル事業・賃貸施設事業を展開し、新築マンション「シエリア」ブランドを主力商材としている。分譲住宅事業は、購買検討期間が長く、商材が高額となる。また、必ず直接的な顧客接点があるため、現場営業が強いという特徴があるという。

 だが最近では、消費者行動がネット中心に変化することで、営業電話がつながらない、顧客の関心が分からないといった課題を抱えていた。例えば、モデルルームの来場にも変化が表れている。「数年前は平均5件(1人当たり)だった物件の見学件数が、最近では3件程度に減っている。ネットで下調べをして、見学する物件を先に絞り込んでしまうためだ」(住宅事業本部 販売部 販売計画グループ マネジャー 服部和広氏)

 ネットの接点が増えて重要になっていているのに、何も対策ができていない状態だった。消費者の行動変化に追い付くため「ネット施策」が必須になっていた。

顧客ごとのネット行動を可視化

 その施策の一つとして、2014年12月にMAツール「Oracle Eloqua」を導入。80人程度で活用している。組織に定着させながら徐々に活用の幅を広げていく「スモールスタート」の形を取った。

Eloquaの導入プロセス
Eloquaの導入プロセス

 まず、見込み客のネット行動を理解するため、プロファイラ機能から使い始めた。メールの開封や自社ウェブサイトの閲覧頻度、セミナー参加履歴などの情報を個人単位で可視化するためのツールだ。

 このツールを使って、資料請求者の中からフォローアップ(追客)する見込み客の優先順位を付けたり、よく閲覧している間取りがあればモデルルーム来場時にその間取りを中心に説明したりできる。

 また、「“見込みなし”と判断した顧客でもウェブサイトの閲覧をきっかけに電話したところ、継続検討していることが分かったケースもある。営業側も『ウェブ閲覧があるのだから興味があるはず』と希望を見いだしながらアプローチしている」(服部氏)

 このようにして、導入当初はカタカナ言葉やマーケティング用語などに社内で拒否反応を示していたものの、Eloquaが“使えるツール”として現場営業から評価されるようになった。

関電不動産開発の服部和広氏(右)と山田裕介氏
関電不動産開発の服部和広氏(右)と山田裕介氏

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