「IBMのセキュリティはどの領域も包括的にカバーしている」
(日本IBM 纐纈昌嗣 執行役員)
日本IBMの纐纈昌嗣 執行役員
日本IBMが先頃、2018年のセキュリティ事業戦略とともに、その一環としてサイバー攻撃対策の中核組織となる「セキュリティー・インテリジェンス・センター」を発足したと発表した。2017年12月に同社の執行役員セキュリティー事業本部長に就任後、初めて会見に臨んだ纐纈氏の冒頭の発言は、IBMのセキュリティ事業の特徴について述べたものである。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは纐纈氏の冒頭の発言に注目したい。同氏が言う包括的にカバーしている領域とは、図に示したように、エンドポイント、脅威インテリジェンス、ネットワーク、IDとアクセスなどからなる。
図:IBMが提供する包括的なセキュリティソリューション
ただ、同氏が会見で冒頭のように発言したのは、まさしく最初のあいさつ直後で、現職に就任して間もない自らの印象を次のように語ったものだった。
「外から来た目で見てIBMのセキュリティ事業の最大の特徴は、お客さまのセキュリティに対するあらゆるニーズに対して、全て包括的にカバーしていることにある。しかも製品やサービスを提供するだけでなくコンサルティングも行っているので、例えば、セキュリティ対策をどのように行えばよいのか、といったお客さまのご相談にも的確に対応することができる」
纐纈氏と筆者は、かれこれ20年ほどのつき合いになる。今回の会見でも最初に自らのプロフィールを紹介していたので、筆者なりの視点も交えて記しておこう。
同氏は1987年に京都大学大学院工学研究科を修了後、NECに入社してUNIXサーバのOS開発や事業提携、製品計画に従事。サン・マイクロシステムズに移ってプロダクトマーケティング本部長などを歴任。その後、アクセンチュアを経て、レッドハットで常務執行役員パートナー統括本部長、ソフォスで代表取締役社長、Splunk Services Japanでカントリーマネジャーを歴任後、日本IBMで現職に就任した。
ソフォスとSplunkにおけるセキュリティ事業のマネジメントが現職につながったイメージだが、筆者の印象では、NECでのUNIXサーバとの関わりを発端に、サンおよびレッドハットでの奮闘ぶりから「オープン」あるいは「オープンソース」という言葉が同氏には一番なじむと感じている。
一方、IBMもここ数年は独自路線からオープンへと大きく舵を切っている。そう考えると、今回の纐纈氏の転身は、IBMの変わりようを表した象徴的な出来事ともいえそうだ。