SAPはアプリケーションに人工知能(AI)を組み込んでいる。そしてMapR Technologiesも同社のデータプラットフォームにAIを組み込んでいる。いずれのケースでもAIはよりユビキタスかつ、より便利なものになってきている。
アナリティクスや機械学習(ML)、AIに関して記事を執筆する際、具体的な応用事例を見つけ出すのが大変だと感じる時もある。その結果、これらテクノロジの力を十分に伝えきれない場合もある。AIの有用性を伝えられず、あるいは容易に理解してもらえず、捉えどころのないものだと判断されるのは、著者の本意ではない。
しかし、応用事例を挙げる際、企業資源計画(ERP)ソフトウェアだけで十分な場合もしばしばある。その一方で、ERPは平凡すぎるというひと言で片付けられる場合もある。現実には、ERPは企業運営に必要欠くべからざるものであるため、ERPにこれら技術を適用すれば、その影響は非常に大きくなり、その価値も極めて明確に描き出せるはずだ。
SAPとAI
米国時間2月6日にリリースされた「SAP S/4HANA Cloud 1802」は、四半期ごとにアップデートされるSAPのERPスイートの最新版であり、随所にAIが取り込まれている。SAPの最高製品責任者(CPO)Christian Pedersen氏は、筆者のために時間を割いてくれ、同社のERPソフトウェアにAIがどのように織り込まれているのかを解説してくれた。
同ソフトウェアは「SAP Leonardo Machine Learning」を利用することで、非常に素晴らしい機能が提供される。こういった機能には、取引の成約可能性を判定したり、未決注文の影響に基づいて損益を予測したりする機能や、ユーザーが手作業で行う請求書と注文の突合作業を観察、学習することで作業を自動化するシステムが含まれている。
さまざまな状況への対応が可能なツール
SAP S/4HANA Cloudには、音声コマンドインターフェースを搭載したデジタルアシスタントも含まれており、この機能は(パートナーのソリューションを通じて)「Amazon Alexa」と統合することも可能になっている。SAP S/4HANA Cloudの最新版は、支払いの自動処理機能と、購買に関する特定の状況を処理するための新ツールも提供している。後者は購買注文の確認と購買要求におけるリスクをユーザーに警告するとともに、顧客への事前連絡を自動化できるよう支援してくれる。