企業における「ビジネスのデジタル化」の実態はどんな状況なのか――。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の最新調査を基に考察してみたい。
企業の過半数が取り組むビジネスのデジタル化
JUASが先頃、東証一部上場企業とそれに準ずる企業を対象に実施した「企業IT動向調査2018」の中から「ビジネスのデジタル化」に関する調査結果の速報値を発表した。それによると、回答企業の過半数が何らかの形でビジネスのデジタル化に取り組んでいることが分かった。
調査期間は2017年9月25日~10月17日。4000社のIT部門長に調査票を郵送し、1078社から有効回答を得たという。なお、設問によって有効回答数は異なっている。売り上げ規模別および業種グループ別にビジネスのデジタル化の実態を明らかにした非常に興味深い調査結果なので、以下に3つの図を示しながら解説したい。
図1は、企業におけるビジネスのデジタル化の実施・検討状況を売上高別に示したグラフである。全体でみると「実施している」が20.9%で、2016年度から8.4ポイント増加している。「検討中」(31.3%)と合わせると52.2%になり、半数以上が実施または検討中として取り組んでいることが分かった。
図1:売上高別 ビジネスのデジタル化の実施・検討状況(出典:JUASの「企業IT動向調査2018」
図1の中で目立った動きといえば、売上高1兆円以上の企業において「実施している」が16年度から23.7%伸び、71.7%に達したことだ。「検討中」も26.1%あり、この規模の企業ではほぼ全てが何らかの形で急速にデジタル化を進めていることが見て取れる。
図2は、ビジネスのデジタル化の実施・検討状況を業種グループ別に示したグラフである。目立つのは「金融」の動きだ。「実施している」が16年度から17.2ポイント増加して35.1%に達し、他の業種グループを引き離している。一方で「検討中」が14.9ポイント減少。検討から実施段階へとデジタル化のステージが着実に進行していることを示している。また、「社会インフラ」や「機械器具製造」も活発な取り組みがうかがえる。
図2:業種グループ別 ビジネスのデジタル化の実施・検討状況(出典:JUASの「企業IT動向調査2018」