業種別に見たデジタル化の代表的な取り組みテーマとは
図3は、デジタル化の代表的な取り組みテーマを業種グループ別に示したグラフである。図1でビジネスのデジタル化を「実施している」または「検討中」と回答した企業のうち、代表的な取り組みテーマについて442社から回答を得た格好だ。筆者が最も注目した調査結果である。

図3:業種グループ別 デジタル化の代表的な取り組みテーマ(出典:JUASの「企業IT動向調査2018」
まず、製造業や「建築・土木」の分野でデジタル化の中心になっているのは「生産管理の高度化」だ。「素材製造」で54.5%、「機械器具製造」で41.0%、「建築・土木」で37.0%に上っている。IoT(Internet of Things)を導入して生産設備の稼働状況を可視化したり、工事現場の施工状況を把握したりすることで、生産性を向上させるといった取り組みが進んでいると推察できる。
一方、非製造業が注力しているのは「新ビジネス・サービス・商品化」だ。「金融」では46.9%、「社会インフラ」では42.5%など、半数近くの企業が代表的な取り組みテーマに挙げている。ビッグデータや人工知能(AI)などの活用によって、新たなビジネスモデルを創出する動きが盛んになっていることがうかがえる。
また、「Fintechへの対応」は「金融」(34.4%)のほか、「サービス」(4.6%)でも取り組みが始まっている。さらに「顧客行動分析・CRMの高度化」に関心が高いのは「商社・流通」で42.9%を占めた。
これら、「新ビジネス・サービス・商品化」「Fintechへの対応」「設備保全・管理の高度化」「生産管理の高度化」「顧客行動分析・CRMの高度化」などのデジタル化の代表的な取り組みテーマはJUASが設定したものだが、業種グループによってそれぞれ取り組み方が異なる状況が興味深いところである。
今後、図3をさらに個別に掘り下げた取り組み内容も「事例」の形でどんどん明らかになっていくだろう。筆者もぜひ最前線を追いかけたい。なお、JUASでは本調査の正式なデータや分析結果を4月に発表する予定だ。