自社株買いのメリットと大まかな計算
自社株買いを発表する企業が増えている。発表された自社株買いが株主にどのくらいのメリットがあるか、おおよその見当を付ける方法を教える。
発表された自社株買いが全て実行されるとした場合、発行済株式数が何%減るのかを見るといい。
具体例を見てみよう。以下は2017年9月11日に発表された日本郵政(6178)の自社株買いの概要である。
- 取得対象の株式の種類:自社の普通株式
- 取得し得る株式の総数:1億株(上限)(発行済株式総数に対する割合2.43%)
- 株式の取得価額の総額:1000億円(上限)
- 取得期間:2017年9月13日~9月22日
- 取得の方法:株式会社東京証券取引所の自己株式立会外買付取引
ここで一番注目していただきたいのは、太字で表示した発行済株式総数に対する割合だ。2.43%となっている。上限株数を買い付けると、発行済株式総数が2.43%減少する。ということは、1株当たり利益がおおむね2.43%増えるわけである。
つまり、株価収益率(PER)などの株価評価が変わらなければ、自社株買いで1株当たり利益が2.43%増加し、株価が2.43%程度上がると期待できるわけだ。
厳密に計算するともう少し異なる結果となるが、ざっくりしたメリットの把握としては上記でオーケーである。
自社株買い発表をネタに短期マネーが売買すると株価は乱高下
大規模な自社株の市場買い付け枠を設定した企業に対して、短期マネーが先回りの買いを入れて株価が上がることもある。自社株買いが続いている間、株価は堅調だ。ところが、短期マネーは「自社株買い付け終了」が発表されるときには株を売る。
短期マネーが注目するのは、自社株買いで1株当たり利益が増えることではなく、株の買い付けで短期的に株が上がることだけである。
ファナック(6954)やアマダHLDG(6113)など、バランスシートにキャッシュをたくさん抱える企業が自社株買いを積極化すると発表したときは短期的に株価が急騰した。自社株買いそのもののメリットより「自社株買い積極化」という材料が重視されたためである。
こうした自社株買いからみの投機筋の動きには注意が必要だ。
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