今週の明言

富士通マーケティング社長が挙げた「働き方改革のキーワード」

松岡功

2018-02-23 11:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、富士通マーケティングの藤田正美 代表取締役社長と、アーバーネットワークスの河田英典カントリーマネージャーの発言を紹介する。

「働き方改革はダイバーシティとインクルージョンが重要だ」
(富士通マーケティング 藤田正美 代表取締役社長)


富士通マーケティングの藤田正美 代表取締役社長

 富士通マーケティングが先頃、顧客企業を招待したプライベートイベント「富士通マーケティングフォーラム2018」を都内で開催した。藤田氏の冒頭の発言は、そのイベントの経営層向けフォーラムにおいて主催者挨拶としてスピーチした中で、働き方改革の重要なポイントについて述べたものである。

 藤田氏はスピーチの中で、働き方改革をテーマにした同フォーラムでの来場者アンケートの結果から、「経営層は高い関心を持っているが、その6割が具体的な指示を出していない」、あるいは「総務・人事部門の担当者は必要だと認識しているが、その4割は進め方に課題があると感じている」という実態が明らかになったと説明。その上で、「働き方改革を力強く推進するためには、経営層がその思いを明確に示すことが重要だ」と強調した。

 ちなみに、富士通マーケティングでは2014年から働き方改革に取り組んでいる。藤田氏はその経験から、図に示した実践アプローチを説明した。それによると、まず、総務部門が担う「働く環境の整備」と、経営・人事部門が担う「マネジメント」に分け、前者では「テレワーク環境の整備」「紙文書のデジタル化」「オフィス環境の改善」を進め、後者では「あるべき姿の策定」「社員の意識改革・人材の見える化」「長時間労働への対策」を講じたという。


図:富士通マーケティングが実践した「働き方改革」のアプローチ

 具体的には2014年の本社移転を機に、若手から中堅社員を中心として組織横断のワーキンググループを設け、働き方や働く環境のコンセプトを作成して実践に移し、これまでに例えば、紙文書を60%削減したり、社内のモバイルワーク環境を整備したりしたことにより、どこでも安心して仕事ができるようになった。現在も「お仕事さくさくプロジェクト」と名付けた取り組みにより、そうした活動のさらなる深化を図っている。

 また、2015年から在宅勤務制度も導入したほか、マーケティング部門やサポート部門においては、人工知能(AI)やロボティックプロセスオートメーション(RPA)を活用した業務の生産性向上にも積極的に取り組んでいるという。

 こうして自社の働き方改革への取り組みを説明した藤田氏が、最後に語ったのが冒頭の「ダイバーシティとインクルージョンの重要性」だ。ちなみに、ダイバーシティは「人それぞれの違いによる多様性」、インクルージョンは「一人ひとり違う個性の人々がお互いに尊重し、認め合い、生かし合う」ことを指す。藤田氏はこれらの言葉を通じて、「人材および働き方の多様化が生産性向上やイノベーションを創出する」と強調した。

 「ダイバーシティとインクルージョン」は以前から話題に上っている言葉だが、さらなる働き方改革の深化に向けて、改めて肝に銘じておきたいキーワードである。

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