ITリーダーや事業部門の責任者は、ITのプラットフォームにパブリッククラウドを選ぶことが多くなった。IDCの調査では、パブリッククラウドのサービスやインフラに対する2018年の世界的な支出は、1600億ドル(約17兆円)に達すると予想されている。これは2017年よりも23%大きい数字だ。
ところが、クラウドへの移行ペースは上がり続けているにもかかわらず、企業の最高情報責任者(CIO)はプロバイダーやサービスの選択肢の多さに戸惑っているのが現状だ。企業は、どのようにクラウドプラットフォームを選ぶべきなのだろうか。この記事では5人のITリーダーから、どのように組織の事業に合ったクラウドプラットフォームを選択したかを聞く。
1.幅広い選択肢を最大限に活用する
英国の国立血液サービス(NHSBT)で最高デジタル責任者(CDO)を務めるAaron Powell氏は、1つのクラウドプロバイダーに依存するアプローチは取らなかったと述べている。同氏は実際、さまざまな選択肢を選んでいる。「私は本能的に、複数のクラウドプロバイダーを利用するのがよいと考えている」とPowell氏は言う。
同組織は、献血者向けのポータルなどのいくつかのサービスでは「Azure」を使用しており、Azure上でMicrosoftのアプリケーションをネイティブに実行している。また、アナリティクスのためにIBMのクラウドも利用している。
Powell氏のアプローチは、一部の専門家とはスタンスが異なっている。同氏は、18カ月前に大手コンサルティング企業の役員と議論したときのことを振り返って、その時のことを語ってくれた。そのコンサルタントは、Powell氏に対して、マルチクラウド戦略を取っているCIOはほかにはいないと語った。実際Powell氏は、そのコンサルタントから、複数のクラウドを利用するのは馬鹿げていると言われたという。
しかしNHSBTでは、マルチクラウド戦略はうまく機能している。Powell氏は、今後、これに倣うほかのITリーダーも出てくると考えている。「私の感覚では、単一のプロバイダーに依存することの優位性は失われつつあり、さまざまなクラウドプロバイダーを利用するCIOは増えている」とPowell氏は言う。「その多様性によって、より強靱でセキュリティが高いと感じられる」
2.新たなビジネスニーズに柔軟に対応する
英国の気象庁は、パブリックサービスの導入を優先し、ハイブリッドクラウド戦略を避けるという新しいアプローチを取っている。英国の気象サービスを担っている同庁は、24カ月前からクラウド環境を利用している。