英気象庁のチーフアーキテクトJames Tomkins氏によれば、クラウドはより大局的な事業変革プロジェクトの鍵になる要素だという。同庁は三本柱戦略を採っており、組織内の機能には、クラウドを専門とするサードパーティーのコンサルティング企業Cloudreachの支援を受けて、AWSを利用している。
「クラウドへの移行でもっとも重要なのは、組織にあったプロバイダーを見つけることだ」とTomkins氏は言う。「われわれは調査を実施し、市場ですべての大手プロバイダーとやりとりした。われわれには取り扱っているデータ量の点で特有の事情があり、それらの事業の要件に基づいて判断を下した」
英気省庁とAmazonの関係は排他的なものではない。ITリーダーは、ビジネスニーズに応じて柔軟にクラウド環境を調達する必要がある。「組織内で進めている開発はAmazonを中心に据えたたものだが、一部のサービスはAzureで提供しており、生産性アプリケーションにも『Office 365』のプラットフォームを使用している」とTomkins氏は述べている。
3.オープン性を保ち、顧客に選択肢を提供する
海洋土木・施設建造会社McDermott InternationalのCIO兼CDO、Akash Khurana氏は、顧客の観点が重要だと話す。「当社の顧客はさまざまなプラットフォームを利用している。製品を顧客に提供する際に、特定のプロバイダーでしか利用できないなどと言うわけにはいかない」と同氏は言う。
「このため当社は、興味深い設計上の課題を抱えている。われわれは、作っている製品とプラットフォームについてよく理解し、どう顧客に提供するかについて考えなくてはならない。当社は、プラットフォームに依存しない製品を作ろうとしている」
同氏によれば、オープンソース技術を使うことで、CIOはさまざまな選択肢を得られるという。重要なのはオープン性だ。Khurana氏は、顧客ベースが制約されないように、事業が特定のプロバイダーにロックインされてしまわないような選択をすべきだと述べている。
「当社は、GoogleやAmazon Web Services(AWS)、Azureなどのクラウドプロバイダーの機能を使って、適切なストレージやコンピューティング能力を提供できるようにする必要がある。繰り返しになるが、当社は特定のテクノロジに依存しないプラットフォームを構築しようとしている」(Khurana氏)