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MSとワシントン大、DNAストレージ実現に向けデータ読み出し技術開発で進展

Liam Tung (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部

2018-02-26 14:12

 DNA上に膨大な量のデータを保存するというアイデアは、新たなデータ読み出し技術の開発により、また1歩現実に近づいた。

 Microsoftは、データストレージに対する世界的な需要の拡大に応えられる、長期保存目的の未来のメディアとして、合成DNAの研究に力を入れている。既に研究者らは、わずか数グラムのDNAにエクサバイト規模のデータを格納し、最高2000年も保持できるということを明らかにしている

 ただ難点は、コストの高さと、DNAへのデータ書き込み速度が極めて遅いというところにある。DNAにデータを書き込むには0と1というデジタル情報を、DNAを構成するアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基情報に変換する必要がある。またDNAからデータを取得するには、DNAのシーケンス解析を実施し、ファイルを0と1からなる状態にデコードする必要がある。さらに、DNA上に保存されている特定ファイルの検索や取得も課題となっている。

 Microsoft Researchとワシントン大学(UW)の研究者らが説明しているように、DNAストレージに対するランダムアクセスや、任意のファイルを選択的に取得できる機能が実現されない限り、読み出したいファイルをいくつか検索、取得するためにデータセット全体のシーケンス解析とデコードが必要となる。ランダムアクセス機能を実現できれば、必要となるシーケンス解析の量を削減できる。

DNAストレージ
提供:Dennis Wise, University of Washington

 DNA上でのランダムアクセスを実現するために、研究者らはそれぞれのDNAシーケンスに付加する「プライマー」のライブラリを作成した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とともに用いることで、これらのプライマーは、ランダムアクセス時にDNAの適切な断片を選択するためのターゲットとなる。

 ワシントン大学の説明によると、「データを保持するDNAをファイルから合成する前に、研究者らは各DNAシーケンスの両端にプライマーライブラリから取得したPCRプライマーをターゲットとして追加する」という。

 さらに同大学は「研究者らは、その後のランダムアクセスの工程で、必要なストランドを選択するためにこれらのプライマーを使用するとともに、データをデコードし、元のデジタルな状態に復元するという工程をより効率的に実施するために、新たに設計されたアルゴリズムを使用した」と説明している。

 より効率的にデータをデコード、復元するためのアルゴリズムの開発で主導的な役割を果たしたMicrosoftのシニアリサーチャーSergey Yekhanin氏によると、新たなアルゴリズムはDNAシーケンスの読み書きにおけるエラー耐性がより高いため、情報の復元に必要なシーケンス解析と処理を削減できるという。

 DNAへのランダムアクセスを実現したのは初めてではないが、研究者らによると、この規模で実現したのは初めてだという。

 研究者らは合成DNAを用いて、29K~44Mバイトまでの35ファイルのエンコードと読み取りに成功した。ファイルは計200Mバイトで、高解像度の動画や音声、画像、テキストなどが含まれている。

 この技術について解説した論文をリリースして以来、DNAで400Mバイトのデータからのファイルのエンコードと読み出しも行ったという。

 研究者らは、ランダムアクセスに向けた今回のアプローチが、テラバイト規模のデータを保持し、物理的に独立した複数のDNAプールにも適用できるだけのスケーラビリティを有していると確信している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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