IFSのこの調査は、冷暖房空調設備(HVAC)や配管、電気工事、ビルの自動化、弱電設備工事、看板、シャッター工事などに携わる専門的な請負業者の幹部200人を対象に実施されたものであり、デジタル変革のまっただ中にある業界の状況を浮き彫りにしている。回答者の85%は顧客固有の条件や、サービス水準合意(SLA)、価格が記されたメンテナンス契約を締結していると答えた一方、使用しているソフトウェアがこうした契約を「非常にうまく取り扱っている」と答えたのは14%にすぎなかった。
調査レポートには「サービス作業を実施する下請け業者の管理では、受注の確保や、仕事の割り当て、完了した仕事の記録、使用した部品や部材の記録に合理的なアプローチを適用する必要がある。適用範囲を下請け業者にまで拡張したエンタープライズシステムがなければ、顧客との契約に合致した成果物をもたらす能力が低下するとともに、管理作業に膨大な時間がかかるようになる」と記されている。
その結果、現場を支える要員が顧客エクスペリエンスの向上や、新たな収益をもたらすうえで貢献できる機会が損なわれている。技術者が顧客独自の要件を含む契約条件に関する情報にアクセスできるようになっているとした回答者は38%にすぎなかった。また、フィールドテクニシャンが新たなサービス契約や、既存契約をより高価なものに改訂する際に活用できるテクノロジを有しているとした回答者も15%にすぎなかった。さらに、新たな見積もりを提供できるとした回答者は25%、顧客からの見積もり承認を受けられるとした回答者は23%にとどまった。
合計すると、回答者の89%が下請け業者を使用していると答えたものの、自社のフィールドサービス管理ソフトウェアとやり取りできるモバイルアプリを下請け業者に提供することで、最新のテクノロジを適用しているとした回答者は10%しかいなかった。
IFSのMark Brewer氏によると、専門業者や下請け業者の多くは「製品出荷後のサービス業務をサポートするために、何らかのフィールドサービス関連テクノロジに投資している」という。同氏によると、「彼らはこのソフトウェアで初期プロジェクトにおける建設作業員を管理することもしばしばある。しかし彼らは現在、顧客固有のSLAにもっと注意を払う必要がある状況に置かれるようになってきている。彼らは各顧客からより高価な契約を得て、販売実績を上げていくとともに、顧客エクスペリエンスを向上させる必要がある」と述べている。