NECと日本気象協会、AIを利用した「需給最適化プラットフォーム」を展開

國谷武史 (編集部) 2018年02月28日 14時55分

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 NECと日本気象協会(JWA)は2月28日、多様なデータと人工知能(AI)による分析から需要と供給のギャップによるムダを低減する取り組みを発表した。NECが7月からデータ流通基盤「需給最適化プラットフォーム」を提供し、第一段では食品の過剰な生産や廃棄の問題解決に乗り出す。


NEC エンタープライズビジネスユニット担当理事の中田平将氏

 この取り組みでは、小売側の販売実績、卸・物流側の在庫実績、製造側の出荷実績といったデータと、JWAが提供する気象データ、さらには交通量や人口動態といったさまざまなデータをAIで分析して需要を予測する。予測結果を製造から小売までのサプライチェーン全体で共有、利用することにより、過剰な発注や生産を抑制して、商品の大量廃棄などの問題解決を目指すという。

 第一段で取り組む食品分野では、農林水産省の資料によれば、国内だけで年間約632万トンの廃棄が発生しているという。記者会見したNEC エンタープライズビジネスユニット担当理事の中田平将氏は、「個別の需要予測で損失を減らす取り組みには限界があり、より大きなサプライチェーンの枠組みとAI技術の活用によって効果を高めていく必要がある」と語った。

 例えば、弁当のような消費期限の短い加工食品の場合、小売側は販売実績など過去の教訓から需要を予測して卸・物流側に発注する。卸・物流側は、小売側の急な発注に備えて商品在庫を確保する必要性から前もって製造側に発注し、製造側では商品を大量生産する。しかし急な天候不順によって販売が低迷すれば、不良在庫となった商品の大量廃棄が行われてしまう。


食品の大量廃棄などの問題の解決には多方面の取り組みがあるが、今回は需給ギャップの抑制がポイントだという

日本気象協会 防災ソリューション事業部 商品需要予測事業マネージャーの本間基寛氏

 JWA 防災ソリューション事業部 商品需要予測事業マネージャーの本間基寛氏は、「気象はあらゆる産業にとってリスク」と話す。JWAは2014年から気象データを商品の需要予測に活用する実証実験を行い、一定の成果が得られたとして事業化し、今回のNECとの協業はこの一環となる。

 JWAなどによる実証実験の一例として、豆腐の発注の前倒しによる損失低減の検証では、メーカー側の生産見込みの誤差が従前の8.0%から0.4%へ大幅に減少した。店舗側では販売1日前での予測誤差が11.6%だったが、実験では販売2日前へ前倒しても予測誤差が9.2%に減少したという。本間氏は、気象データの活用で出荷までのリードタイムが伸びても予測精度の向上が期待できると説明する。

 NECが7月から展開する需給最適化プラットフォームは、「異種混合学習技術」というNEC独自の機械学習技術で各種データを分析することにより、需要を予測する。当初は、小売向けに日次ベースの客数予測や推奨発注量の提案、製造側に短期の出荷予測などを提供する予定で、今後は中期的な予測や需要計画の支援、商品ライフサイクルに応じた出荷計画などのメニューのほか、ユーザー教育や事前検証、システム構築などのサービスも提供する。同社では、関連サービスも含めて2020年度に200億円の売上を見込む。


「需給最適化プラットフォーム」のイメージ

 ただし販売や出荷などの実績データは、企業によっては重要機密とみなされ、利用や共有する範囲が限られている。中田氏は、データの提供元や詳細な内容などは秘匿性を確保することで200社以上の参加を募りたいと話すが、具体的なサービス提供などの仕組みは今後検討していくという。

 AIやビッグデータ活用では、既にThe Weather Companyを買収した米IBMによる気象データの販売事業などがある。中田氏によれば、2019年度下期を目標にデータビジネスの事業化を検討しているといい、「IBMのような買収も含めて事業展開の仕方を検討している」と述べた。気象データのビジネスでは、国内で多くの民間気象会社が予報サービスを提供しており、本間氏は「一面では競争関係になるかもしれないが、気象データが社会全体で活用されるようにしたい」と話している。

ムダになった食品廃棄の現状

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