今日の企業の多くは、こうした膨大なデータを処理するためにコンピューティングをクラウドに移行しているが、Mesosphereは将来的にエッジ上で処理されるようになると考えている。エッジコンピューティングの目標は、広域ネットワーク(WAN)を横断するデータ伝送によって発生するレイテンシを避け、データに基づいた迅速な対処を実現することだ。
「ほとんどの自動運転車では、機能するうえで最小限のインターネット接続しか必要としないようなテクノロジを採用している。たいていの場合、走行中にインターネットに送出しているのは特定の統計情報だけであり、アルゴリズムと地図情報は自動車にあらかじめロードされている。このため、ネットワークの信頼性が著しく向上しない限り、ネットワーク速度が関係してくるとは考えていない」(Leibert氏)
速度は重要ではない。信頼性が違いをもたらすのだ。これがScaleのCEOであるAlexandr Wang氏の考えていることだ。
Scaleは、自動運転車やドローン、地図作成などに利用されるLiDARやレーダーの点群データを扱う「Sensor Fusion Annotation API」の開発元だ。同社は、GM Cruiseや、Alphabet、Uberといった世界の先進的な自動運転車企業に対して訓練データを提供している。Wang氏は次のように付け加えた。
最大の疑問は、接続の信頼性に関するものだ。自動車が機能するうえで、クラウド上の何らかの処理に依存している場合、接続の切断によって乗客の身が危険にさらされる可能性があるのは間違いない。
5Gの接続性については、極めて高い信頼性があることをテストで証明し、現実の環境でも安心して同技術が使えると自動車メーカーに納得してもらう必要がある。これは安価で信頼性が高く、高速でなければならない。現在ある技術のいずれよりも極めて安価で信頼性が高く、そして5Gがもたらそうとしているよりも極めて安価で信頼性が高いものとなるだろう。
また、価値をもたらしつつ、処理時間を低下させないだけの十分な高速性も必要だ。応答時間は現実的に、ほとんどの視覚アルゴリズムや認知アルゴリズムの実行時間と同じであるため、自動運転のためのクラウドコンピューティングという考えは愚かだと言えるだろう。

クラウドはあらゆる問題に対する答えとはならない。自動運転車のようなある種のユースケースにはエッジコンピューティングの方がより優れたパラダイムとなる。
提供:CB Insights