ヴイエムウェア、「VMware Cloud」の機能拡充--マルチクラウドの活用促進 - (page 2)

藤本和彦 (編集部)

2018-03-08 12:15

VMware Cloud on AWSは欧州でサービス開始

 VMware Cloud on AWSは、VMware環境をAWS上で提供するサービス。AWSが用意するベアメタル上にvSphere、vSAN、NSXを実装してVMware環境を構築。オンプレミス環境と合わせてvCenterで一元管理できる仕組みとなっている。VMwareが販売・運用・サポートを提供する。コンテナと仮想マシンに対応し、1時間ごとの従量課金のほか、1年間/3年間のサブスクリプションで利用できる。

 今回のアップデートでは、AWSの欧州リージョン(ロンドン)でサービスを提供開始した。米国(オレゴン、ノースバージニア)に続いて3拠点目となる。また、ドイツ・フランクフルト(3月中)、東京(2018年第4四半期)でのリージョン開設も予定している。

 vSANストレッチクラスタを使った複数アベイラビリティーゾーン(AZ)間のデータ保護機能がプレビュー版で公開された。インフラレイヤに組み込み型のためアプリケーションに依存しないほか、AZ間での完全同期レプリケーションにより、ミッションクリティカルにも対応する。

 また、AZをまたいだ論理ネットワークと、vSphere HA/DRSによるワークロードの保護/動的再配置にも対応する。データ損失が一切発生しない“ゼロデータロス”の可用性を特徴とし、片側AZが全面障害に陥っても迅速な復旧が可能としている。

 vSANに組み込まれたデータ圧縮と重複排除が利用可能になった。一般的なワークロードの例だと、40%程度のキャパシティ利用率の向上と、3年間でおよそ1億3000万円のTCO(総保有コスト)削減を実現するという。

 AWS CloudFormationとHashiCorp Terraformと連携した自動プロビジョニング機能を新しく提供する。オンプレミス、VMware Cloud、AWSサービスを組み合わせたデプロイにも対応し、VMware{code}コミュニティーを通じたテンプレートの共有も可能となっている。

 さらに、初期ネットワーク設定とセキュリティ設定の確実性を確認する新ツールとして下記を実装した。

  • Tunnel Status Monitor
  • Connectivity Checker(プレビュー版)
  • Firewall Rule Accelerator(プレビュー版)
    •  VMware Cloud on AWSコンソールには、「Develop Center」と呼ばれる新たなDevOps開発者向けツールが組み込まれた。API Explorerという対話型の画面でRestful APIの効率的な実行と習得を可能にするほか、ソフトウェア開発キット(SDK)やガイドブック、ドキュメントを提供する。PowerShellやコマンドセットを包含したコマンドラインインターフェース(CLI)も実装されている。

       仮想デスクトップ基盤(VDI)の「VMware Horizon 7」がVMware Cloud on AWSでサポート(プレビュー版)。Horizon Cloud Pod Architecture(CPA)を用いることで、オンプレミスとVMware Cloud on AWSの間でハイブリッドなVDI環境を運用できる。VMware Cloud on AWS側は使った分だけ課金される仕組みのため、災害対策用のバックアップ環境を低コストで用意できる。HorizonおよびWorkspace ONEのサブスクリプションでライセンスを適用可能。

       AWSサービスとの連携も拡張し、新しくAWS Greengrass on vSphereのプレビュー版の提供を開始する。AWS LambdaをはじめとするAWSサービスの一部をIoTデバイスなどで実行可能となる。

       北米と欧州で展開しているVMware Cloud on AWSのパートナープログラムについては、日本を含むアジア太平洋地域にも順次展開していくとした。

       また、クラウド事業者向けの「VMware Cloud Provider Platform」もアップデートされ、マルチテナントの管理レイヤ「VMware vCloud Director 9.1」がリリースされた。カスタムワークフローに対応したほか、マルチサイトビュー、ポータル機能などが強化された。Python SDKやコンテナ対応など開発者向けの機能拡張も図られている。


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