「企業はカスタマーエクスペリエンスの推進リーダーを設けよ」
(ガートナージャパン 川辺謙介 ガートナーリサーチディレクター)
ガートナージャパンの川辺謙介ガートナーリサーチディレクター
ガートナージャパンが先頃、自社フォーラム「ガートナー カスタマーエクスペリエンス サミット 2018」を都内で開催した。川辺氏の冒頭の発言はその講演で、企業としてカスタマーエクスペリエンス(顧客体験、以下CX)を推進するリーダーを設ける必要性を訴えたものである。
川辺氏によると、CXは過去5年にわたり、最高経営責任者(CEO)、最高情報責任者(CIO)、最高マーケティング責任者(CMO)にとっての最優先課題となっており、複数のコンタクトチャネル、データソースおよびテクノロジを組み合わせた、これまでにない新たなCX戦略の策定が求められているという。
ただ、日本の企業がCXリーダーを設けているかどうかを聞いたガートナーの調査によると、「役員やリーダーはいない」との回答が6割近くを占めた(図1)。この結果に対し、川辺氏が強く訴えたのが、冒頭の発言である。
図1:日本企業におけるCXリーダー設置の状況(出典:ガートナージャパン)
また、CXリーダーを設ける際、企業の中でその立ち位置を明確にしておく必要があるとして、図2を示した。ポイントは、顧客接点部門間の調整役となるとともに、特にCIOとの関係構築を重視することである。
図2:企業におけるCXリーダー(CXO)の立ち位置(出典:ガートナージャパン)
川辺氏はもう一つ、企業におけるCXの推進について訴えていた。それは、「CXがビジネス上の大きな差別化要素になる」ということだ。なぜ、大きな差別化要素になるのか。同氏は「自社で感動や強い思いをもとに生み出したCXは独自のものとして、製品やサービスと違って、他社にそう簡単にマネされない形になる可能性が高い。それが多くのお客さまに受け入れられ、強いインパクトをもたらすことができれば、何にも増してビジネス上の大きな競争力になる」からだと説明した。
だからこそ、企業はDXリーダーを設けよ、というのが川辺氏のメッセージである。