業務上の意思決定は利用可能な最善のデータに基づくのが基本だが、その実践がいつでも容易だとは限らない。テクノロジとプロセス、企業文化のいずれもが、組織内におけるデータの使われ方に影響を与える。デジタル分野のリーダーたちによると、企業は戦略と文化、アジリティという3つの主要分野に注力すべきだという。これについては、Adobe Systemsが英国のロンドンで最近開催したイベントや、同社がリサーチ企業Econsultancyとともに実施した調査の内容を記したレポート「Digital Trends 2018」(2018年のデジタルトレンド)のなかで論じられている。
#1:データ駆動の文化を築き上げる
英国の銀行であるSantander UKでデータアナリティクス担当マネージャーを務めるJames Birchall氏によると、同社は既にデータの見方を変革し、現在では洞察の価値を確信しているという。3年を費やしたこの変革において、Birchall氏は自らのチームの専門性を生かしてアナリティクステクノロジを活用するとともに、組織全体がそのメリットを享受できるようにした。
Birchall氏は「私はアナリストとして、どのようにして文化を変革できるのかについて考え始めた。われわれは、他の業務部門がデータをより活用できるように支援しなければならない」と述べ、「われわれは、業務チームがより自立したかたちでデータを利用できるようにしたいと考えるとともに、他の部門のスキル向上を支援し、人々が機会を逃さないようにしたいと考えている」と続けた。
同氏によると、変革のペースが加速するにしたがって、洞察がますます重要になってきているという。ほんの数年前には、デジタルバンキングは電子決済や電子資金振替が中心となっていた。しかし現在では、銀行は顧客とやり取りするさまざまな機会を考慮しなければならない。Santanderの顧客の3分の1が使用している、同社のモバイル版バンキングアプリもその一例だ。
Birchall氏は「デジタルは立ち止まっているわけではない。常に新たな機能やサービスが登場してきている」と述べたうえで、「このような変化によって、パフォーマンスの評価に向けたデジタルアナリティクスに関する、かつてないほどの大きな機会が広がっている。われわれは業務運用面とデジタル面での成果をもたらしたいと考えている。それは、顧客エクスペリエンスの理解に向けたデータの活用なしには不可能なのだ」と語った。