AWS、「大阪リージョン」の意義を説明--今後の展開は「需要に応じて」

國谷武史 (編集部)

2018-03-16 06:00

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は3月15日、クラウドインフラサービスに関する直近の取り組みについてメディア向けに説明を行った。2月に開設した「大阪ローカルリージョン」の目的などにも触れた。


AWSのサービス基盤の展開状況

 まず事業面では、米国時間2月1日に発表した2017年第4四半期(10〜12月期)決算について、売上高が前年度同期比44.6%増の51億1300万ドルとなった。国内の顧客数は10万社を超え、技術本部長の岡嵜禎氏は、「クラウドで基幹業務システムを構築・運用する動きが本格化している」と話した。


アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術本部長の岡嵜禎氏

 AWSのサービス基盤は、複数のデータセンターで構成される「アベイラビリティゾーン(AZ)」と複数のAZで構成する「リージョン」からなる。現時点でAZは54、リージョンは19あり、国内には4つのAZから構成される東京リージョンと、2月13日にサービスインした大阪ローカルリージョンがある。なお、「ローカルリージョン」と呼ばれる拠点は、現時点では大阪だけとなっている。

 こうしたサービス基盤の構成は耐障害性を目的にしており、万一どこかのデータセンターあるいはAZで障害が発生しても、別のデータセンターやAZでサービスを継続できるようにしている。AZ内部やAZとリージョン、異なるリージョン間のネットワークを冗長化しており、リージョン間は100ギガビットクラスの専用線で結ばれている。

 岡嵜氏によれば、大阪ローカルリージョンの開設は、東京リージョンと組み合わせた国内だけでシステムを利用したいとする顧客ニーズに対応することが目的で、金融や通信など厳しい規制や要件を伴う企業向けのサービス拠点という特殊な位置付けになるようだ。大阪ローカルリージョンの利用に際しては、事前の申し込みと同社による審査が必要で、大阪ローカルリージョン単独の利用はできない。

 大阪ローカルリージョンでもEC2やS3などのAWSの基本的なサービスは利用できるが、東京を含むその他リージョンで稼働するシステムのバックアップ的な用途が主になる。

 日本・アジア太平洋地域担当セキュリティアシュアランス本部長の梅谷晃宏氏は、「ディザスタリカバリ(災害対策)という観点では、東京の4つのAZだけでも当社が想定する災害リスクに十分対応できると判断しているが、機密性の高いデータを国内で管理しなければならないといった他の要件も鑑みれば、大阪を拠点とすることが顧客ニーズに対応する現実的な判断になる」と説明した。その上で今後、大阪でのサービスメニューの拡充などについては、顧客ニーズを踏まえて検討していくとした。


2月13日に開設された大阪リージョンは、「ローカルリージョン」という名称では唯一の拠点となっている

 AWSは、米国政府の関係企業に限定した「AWS GovCloud」や、2017年11月には諜報関連機関向けの「AWS Secret Region」などを立ち上げており、特殊な要件を抱える顧客向けのサービス基盤も展開している。「リージョン」という形でのサービス基盤の世界展開は、競合のメガクラウドベンダーと同じだが、長らく日本の拠点は東京のみだったため、「大阪ローカルリージョン」の具体的な位置付けなどが注目されていた。

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