Gartnerは、2018年の世界的なIT支出が、前年比4.5%増の3兆7000億ドル(約392兆円)に達すると発表した。成長を後押しする要因には、デジタル化、ビッグデータ、人工知能(AI)といった先端技術に関連するプロジェクトが含まれるという。しかし、ITリーダーが実際に関心を持っているのは、どのようなイノベーションなのだろうか?この記事では、5人のITリーダーに話を聞く。
1.優れたレコメンデーションエンジンの構築
人材紹介会社Airswiftの最高情報責任者(CIO)、Brad Dowden氏は、今もっとも興味深い分野はAIだと語ったが、注意すべき点があるとも付け加えた。同氏は、この技術には大きな可能性があるが、AIという言葉を見境いなく使っている企業が多すぎると考えている。
「それらは多くの場合、特定のビジネス課題を解決する単なるアルゴリズムにすぎない」と同氏は言う。「プロバイダーは製品を売るために、AIの流行を利用している。わたしの知る限り、適切にAIを利用している企業は多くない。これは大企業も含めてのことだ」
ただしDowden氏は、そこにチャンスがあることも理解している。小売りや人材採用などの分野で、AIの力を利用して強力なレコメンデーションエンジンを作ることは可能だという。同氏は、「将来は、当社のような企業が行動パターンを分析して、ある人が将来新しい仕事を探す可能性があるかどうかを判断できるようになる可能性がある」と述べた。
ただしそれは、まだ実現していない。これが実現すれば、自動化の進展によって人間の仕事がなくなる心配はなくなるという。「むしろ、AIは人間関係を補強するようになる」とDowden氏は述べている。「すべての外回り作業は自動化され、今よりも質の高い見込み客の情報やチャンスを得られるようになり、熟練した営業担当者が、1対1のエンゲージメントに集中できるようになるだろう。これは素晴らしいことだが、実現するまでにはまだまだ時間がかかる」
2.機械学習を使って収益性を上げる
デジタルアドバイザーのAndrew Marks氏は、企業がデータに基づく知見を利用して、持っている情報を最大限に活用するのを支援する仕事をしている。同氏は、以前Tullow OilのCIOを務めていた際、テクノロジ部門のリーダーの意思決定にバリュー主導のアプローチを導入しようとした。同氏は、ビッグデータの時代になれば、ITリーダーはさらによい判断が下せるようになると考えている。
「鍵になるのは機械学習だ。機械学習は、アナリティクスの自動的な利用だと考えることができる」とMarks氏は言う。「企業のパフォーマンスや、企業内の資産、顧客の行動などに関するデータポイントを、今よりも大量に集められるようになると、機械学習によって素早く自動的に判断できるようになる」
Marks氏は、リアルタイムで自動的に判断できるようになることは、どのようなITリーダーにも素晴らしいチャンスだと述べている。「通常のCIOであれば、ほぼどんな状況であっても、その技術を理解し、分かりやすく説明し、導入することができるはずだ」と同氏は言う。