「3Dジオメトリ(座標)とセンサのデータを取得したうえで、そこにMR技術を導入すれば、実際の採掘現場から数千km離れた遠隔地のオフィスからでも、鉱山技師が現場をほぼリアルタイムで視認できるようなソリューションを実現できる」(Almagor氏)
「採掘現場のジオメトリを卓上サイズで可視化したり、没入感のあるビューで実際に採掘坑の中に入ったりできる。また、坑道の傾斜の変化や採掘作業の進捗を確認できる。さらに、採掘機器をほぼリアルタイムで可視化できる。発破孔を可視化したり、採掘場所や採掘物の保管場所を確認できる。採掘場管理を効率化するために必要となるエンジアリングデータはMRのなかにあるのだ」(Almagor氏)
Trimbleは、鉱物の採掘場所から保管場所へと続く経路を「マテリアルレインボー」と呼んでいる。また、鉱山技師は掘削機の動きを再現し、そのオペレータが適切な手順を踏んでいるか、あるいは作業をより効率的に進める方法があるかどうかを確認することもできる。
このような採掘システムにおいて、HoloLensには建築家が見出しているものと同様のメリットがある。同氏は、「これはリモートおよびコロケーション時における可視化とコミュニケーション、共同作業についての話だ」と述べた。
またAlmagor氏は、この種のエクスペリエンスは容易に創造できるようになってきていると指摘した。Trimbleが、設計企業やエンジニアリング企業にHoloLensと「SketchUp」をもたらし始めた時には、複数のパイロットプログラムを実施し、顧客のワークフローに組み込むための手助けをするサポートサービスを提供する必要があった。
彼らは現在でも必要に応じてこのようなサービスを提供しているが、Almagor氏は「今では、こういったものを商用ソリューションとして購入する顧客がいる」と述べ、「彼らはソフトウェアとHoloLensを購入し、われわれを必要としていない」と続けた。
PTCの「ThingWorx Studio」といったツールや、「Microsoft Azure」上で動作する「Simplygon」といった新たな描画サービスのおかげで、オーサリングは容易になってきている。ThingWorx Studioというウェブアプリによって、既存のCADモデルをドラッグ&ドロップし、センサデータと接続し、そのモデルとやり取りするためのジェスチャや音声制御を追加することで、(HoloLens用やモバイルAR用の)3Dシーンの構築が可能になる。またSimplygonによって、3D資産のファイルサイズを、HoloLens向けの精度を保ちつつ大幅に削減できる。