展望2020年のIT企業

分かったIT人材不足解消の有効策 - (page 2)

田中克己

2018-04-04 07:30

バイモーダルITの人材育成

 足立氏は、既存IT技術者を生かす上で、2つのモードを手掛けるバイモーダルの人材育成を助言する。既存システムの改善や運用などを担うモード1の人材育成のカギは再活性化にある。計画の着実な実行を通じてゴールを目指すモード1に、目立つ場面を作る。社内システムの守り神、業務の自動化を提案するといった明確な役割をもたせる。APIの導入などによるデジタルとの連携にも取り組んでもらう。専門性を高めるエキスパート制を導入し、社内システムを守っているという尊厳を確保する。管理職に向かない技術者を救済する狙いもある。

 一方、モード2の人材育成のカギは、発掘にある。さまざまなアプローチを試しながらゴールを目指すモード2は、多様な経験と知識が求められる。その人材発掘には、日常の意識や振る舞いを観察すること。SNSなどから、どんな発言をしているか観察もする。周囲とのコミュニケーションも注意深いみる。既存分野での評価にこだわらない。意外に、年配社員に隠れた候補がいるという。

 ITリーダーらは人材育成に取り組むため、採用や育成、評価、キャリパス設計に関与する。そのためには、ITリーダーが人事部と協力関係を築き、人事ローテーションなどを採り入れる。IT部門の技術者をビジネス部門に2年、3年出向させる。ビジネス現場を知るためだ。逆に、ビジネス部門の人材をIT部門に異動させる。IT部門の理解を深めてもらうためだ。フリーランスやIT企業の退職者など高スキルなIT技術者を取り込んだ仮想組織を設置し、デジタル・プロジェクトを加速させる。

 こうしたIT組織作りと人材育成に乗り出すIT部門に、IT企業は従来とは異なる提案を求められることになるのだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]