Pentland氏の研究はすぐに医療分野にも適用され、音声アナリティクスが、うつ病の症状の検出や、医者と患者が本当に互いに理解しているかどうかを判断するために利用できることがわかった。
最近では米国防高等研究計画局(DARPA)と米退役軍人省が、Pentland氏がMITのMBAの学生だったJoshua Feast氏と一緒に2007年に立ち上げた企業であるCogitoの調査事業に助成金を交付している。この調査は、このテクノロジを退役軍人がPTSDを患っている可能性を判別するために利用できないかを調べるもので、これが可能であれば、退役軍人省がより効果的にサービスを提供できる可能性がある。
2013年には、DARPAの支援を受けて臨床試験が実施され、ボストンマラソン爆弾テロ事件後に、臨床試験参加者にPTSDの可能性を示す態度が増えたことが明らかになった。
もちろん、儲かるのはエンタープライズ向け製品だ。
アメリカでは500万人がコールセンターで働いている。Cogitoは、音声に表れるシグナルを分析して、顧客のエンゲージメントや不満などを判断する「Cogito Dialog」と呼ばれる製品を生み出した。このソフトウェアは、通話中のオペレーターに対してリアルタイムでフィードバックを行うことで、顧客へのアプローチを修正できるようにするものだ。
大手医療保険会社Humanaで実施されたケーススタディでは、音声アナリティクストラッキング技術を使った通話中の顧客満足度が28%向上し、従業員エンゲージメントは63%改善された。
「この技術は、人の話を聞いている際の、人間の直感的な理解を支援する」とPentland氏は述べている。「これは人間が相手をよりよく理解できるように手助けするものだ」
Cogitoの法人顧客には、MetLifeやその他の大手保険会社が含まれている。
言葉以外のコミュニケーションやつながりを支援できるということは、外交や紛争の解決にも利用できる可能性があり、ゆくゆくはAIアシスタントやロボットとのコミュニケーションを改善するためにも利用されるかもしれない。
少なくとも、親戚との集まりで政治について話をするときに、リアルタイムで分析の結果を参照できれば助かるに違いないと筆者は考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。