GTCの話題の中心はGPUを使ったコンピューティングだが、NVIDIAはグラフィックの話題についても触れている。同社は、前週に開催された「Game Developers Conference」で発表されたレイトレーシング技術「RTX」と組み合わせて使うことで、リアルタイムで映画品質のレンダリングを行うことができるプロユース向けのワークステーション用GPUを発表した。
TSMCの12nmプロセスで製造される「GV100」は、「Quadro」シリーズとして初めてVoltaアーキテクチャを採用しており、5120基のCUDAコア、32GバイトのHBM2メモリ、640基のTensorコアを備えている。新しいインターコネクト「NVLink2」で2つのGV100を接続することで、64GBのHBM2メモリを持ち、単精度のFP32で30テラフロップス近いピークパフォーマンスを実現できるGPUを構成することもできる。2018年4月には、Dell、富士通、HP、LenovoがQuadro GV100を搭載したワークステーションを発売するという。
今年のGTCでは、NVIDIAが顧客を壇上に上げることはなかったが、同社は幅広い産業の数百社のパートナーと協力関係を結んでおり、Huang氏は講演の中で同社のテクノロジの応用事例に多くの時間を割いた。同氏は「AIや自律的に動作する機械は、あらゆる産業の革命を支えることになるだろう」と将来を予想した。
有望だと思われる分野の1つが医療画像処理で、この分野では、すでに病気の診断や治療に深層学習が使われている。同氏は、15年前の超音波検査画像と、Philipsの超音波診断装置「EPIQ」の最新型で捉えた3D/4D画像を比較してその違いを強調した。問題は、世界には数百万台の医療画像処理機器が存在するが、新たに購入されるのは毎年10万台程度であり、古い技術が新しいものに入れ替わるには何十年もかかることだ。NVIDIAは、この問題に対するソリューションとして、クラウドで既存のデバイスで撮影した画像に対して後処理を行い、最新の立体画像を生成する仮想データセンター「Project Clara」の開発を進めているという。
NVIDIAはこのほか、仮想現実(VR)でのフォトリアリスティックなシミュレーションを使用して自動運転車をテストするためのクラウドベースシステム、「DRIVE Constellation」も発表した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。