総務省は3月30日、全国の市区町村1741団体における情報システム経費の試算(2017年度予算ベース)結果を公表した。クラウドの導入によるコスト削減効果が認められたものの、単独でクラウドを導入する一部のケースではコスト増になることが分かった。
それによると、市区町村の情報システム経費は総額で4786億円に上った。住民1人当たりの経費は平均3742円となり、人口区分別に見ると、最低は10~20万人未満の市区町村(157団体)の3096円、最高は2万人未満の市区町村(791団体)の1万1724円だった。
2018年3月時点でクラウドを導入している市区町村は1013団体あり、このうち「自治体クラウド」と呼ばれる共同利用型(2団体以上での共同利用)の導入は62グループ・379団体となっている。
住民1人当たりの経費は、いずれの人口区分においても自治体クラウドを導入している団体が最も低くなることが分かった。なお、2万人未満および20~30万人未満(46団体)と30万人以上(84団体)では、クラウドを導入していない団体の方が単独でクラウドを導入する団体よりも経費が低くなることが分かった。

住民1人当たりで見た人口規模別およびシステム別の平均経費(出典:総務省)
2016年1月時点で自治体クラウドを導入した市区町村におけるコスト削減効果は、基幹系業務(住民情報や税、社会福祉関連)の場合で30%以上としたのが9グループ、30%未満も9グループだった。基幹系業務と内部管理系業務(人事や経理など)を合わせた場合では、30%以上としたのが8グループ、30%未満は4グループとなっている。

自治体クラウドの導入前後におけるコスト削減効果(出典:総務省)
総務省による市区町村でのクラウド導入計画では、2018年度中に実行可能な具体策を取りまとめる予定で、2020年度以降の早い段階で全団体のクラウド導入を目標に掲げている。