生産性向上に効くビジネスITツール最前線

現場主導のシステム開発で業務課題を解決--「kintone」が非IT系を狙うワケ

柳谷智宣

2018-04-03 07:00

 本連載では、ビジネスで利用するITサービスの最新動向について、最前線を走る企業への取材を軸に紹介する。複数回で同じテーマを追いかけて、今後注目すべきテクノロジやサービスを取り上げる予定だ。今回から数回に分けては、「ローコード/ノーコードプラットフォーム」について追いかけてみる。

ローコード/ノーコードプラットフォームとは

 グローバルではもちろん、日本でもITエンジニアが不足しており、状況は好転する気配がない。経済産業省が発表したデータによると、2020年には約30万人のIT人材が不足すると予測されている。もちろん、IT人材の教育やオフショア開発といった対策も取られているが、中でも注目されているのがローコード/ノーコードプラットフォームだ。

 コードをほとんど書かずに、もしくは全く書かずに、アプリケーションを作成できる仕組みで、システム開発の時間を短縮したり、専門のスキルを持っていない人でも作成できたりといったメリットがある。考え方としては古い技術だが、ここ数年で世界的なニーズが増大し、急激に成長しているカテゴリとなった。IDC Japanが2017年12月に発表した資料によると、2018年にはローコード/ノーコードの開発ツールが劇的に拡充、改良され「誰もが開発者」の時代が到来するという。

 ローコード/ノーコードという単語はまだ認知度が低い上、明確な定義が定められておらず、そのカテゴリに含まれるサービスや製品もまた一様ではない。しかし、これからもIT化の流れは加速し続ける中、IT人材確保の問題はもちろん、開発コストの削減や開発時間の短縮は急務と言える。そこで、これから存在感を増してくるローコード/ノーコードプラットフォームにカテゴライズされる、プロダクトを手掛ける企業に話を聞いてみる。

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「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」から抜粋(出典:経済産業省)

ビジネス向けアプリ作成プラットフォーム「kintone」

 ビジネス向けアプリ作成プラットフォーム「kintone」は、企業向けグループウェアを手掛けるサイボウズが、2011年にスタートしたサービスだ。クラウド上で動作するアプリをドラッグ&ドロップ操作で作成し、ビジネスに活用できるというもの。

 コミュニケーションの場となるスペースと自由に作成できるアプリを組み合わせ、自社にぴったりのグループウェアを構築できる。アプリの作成はデフォルトで用意されているカタログから選べば3分で完成する。多数のアプリが用意されており、顧客リストや問い合わせ管理、旅費精算申請、議事録管理、案件管理など、多様な業種・業務で利用するシステムを手軽に作れるのがポイントだ。

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kintoneのウェブサイト。駅の広告などでキャッチコピーを見かけた人も多いだろう
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用意されているアプリをインストールすれば数分でシステムを構築できる

 業務で利用しているExcelファイルを読み込み、そこからアプリを作成することも可能。イチから作る場合も、フィールドのパーツをドラッグ&ドロップするだけでアプリが作成できる。

 簡単に作成できるのが売りではあるが、Excelで管理しているようなデータベースはもちろん、グラフやプロセス管理など、本格的な業務用システムを作ることも可能だ。もちろん、モバイルにも対応しており、外出先からもスペースやアプリにアクセスして業務を遂行できる。

 料金体系はシンプルで、ライトコースが1ユーザー当たり月額780円、APIやJavaScriptなどを利用できるスタンダードコースが1ユーザー当たり月額1500円となる。スタンダードコースでは、アプリを最大1000個まで、スペースも最大500個まで作成できるので、中小規模の企業で足りなくなるということはないだろう。

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必要なフィールドをドラッグ&ドロップで配置するだけでアプリを作成できる
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2種類のシンプルな価格構成。中小企業でも手を出しやすい金額になっている

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